権威
闇討ちは卑怯なり、当人の正義感が勝ってか宣戦布告を告げるべくI団長が議長室を訪ねて下さった。拝聴すること数分間、加担はせぬも咎める権限とてないから「そうか」と退室を見送った。
その為の監査と申しても任命権者がそちらとあらば身内に近く、作為か否か見過ごされし事実。その衝撃度から週刊誌になぞらえてI隈砲などと勝手に呼んどるのだけど本人の言葉を借りれば「病院局における不適切な財務処理と公文書改ざん」なる不祥事が発覚。然るべき処置が講じられるまでは決算は認定できぬ、と。
認定せぬと申しても予算ならぬ「過去」の話。特段の支障は生じぬも、その烙印は歴史の汚点。不適切とされた処理こそ看過できぬものなれど、一点の減点を以て不合格とするか否か、は採点者の胸先三寸。そんな一揆の余波は全土に及び、紛糾する中に不在とあらば別に向く矛先。この肝心な時に...。火の粉を被るはまっぴら御免、いや、本当に先約があったんだ。
閑話休題。敵失、まさに好機と喜ぶ相手をよそ目に「躓き」というよりも意図的な確信犯。そんな報道なくば団体の実態も白日の下に晒されることはなかった訳で。折角のカラクリがバレちゃうぢゃないか、そんなに騒ぐなと案じた方とて...。いやいや、いづれも立派なセンセイ方にてそんな御仁はいない、はず。およそ権利と自由を翳すは常套手段。責任なき自由なく義務なきところに権利なし。
承認されて当然との認識は些か傲慢が過ぎてはおるまいか、いっそ、推薦者を無条件に承認する任命者こそ必要か、と国民の皆様に問うてみてはどうか。適任か否か、そこに理屈があるものでもなく恣意的なのが人事。学問の自由が侵害された、いや、昨今は「脅かされかねぬ」などと表現を駆使して。あくまでもその役職への任命は出来ぬと責任者が判断しただけの話。研究は誰も咎めてはおらぬ。
学者としての矜持が勝るのであれば、んなものに任命されずと勝手にやるわいと役職を放り投げればいいだけで。手放せぬ特別な事情あらば媚び売らぬまでも面従腹背、臥薪嘗胆しかないでしょうに。何よりも往生際が悪いというか、未練がましい。恨み節は野暮ってもんで、ワシを外すとはちゃんと研究を読んで下さっている証拠だ位の賛辞でも贈っておけば当人の株もぐっと上がりそうなもんだけど、去り際には美学がなきゃいかん。
涼しい顔してバカを演じるが利口なれど、バカになれぬは権威への執着。何てったって「エラい」とされるセンセイ方だからね、下々と一緒にするなって内心が態度に現れていたりもするけど「遊び」が足りなかったんだろうナ。そのへん同じセンセイでもこちらの方が一日の長あって、落選時なども「有権者の見る目が無かった」などとは決して言わぬ。本心は知らぬ、だけど、やはり全て自らの不徳が招いた結果、と。
本市とて市長が議会に同意を求める人事あれど、そこに下手な人物を推薦すれば拒否されかねぬとの緊張感は必要であって、そこが断たれることこそ恐怖ではあるまいか。組織の腐敗、慢心が生んだ悲劇、身から出た錆、と結びたいところなれど、読者諸賢の判断やいかに。
(令和2年10月10日/2599回)
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