横串

駄作か傑作か、割れる賛否に紛糾して暴動に。そんな場面から始まる映画「シャネル&ストラヴィンスキー」。その才能をいち早く見抜いたココ・シャネル。そんな彼女と友情を越えた恋仲に落ちていく関係に妻が痛烈な一言、「あの女と寝たの?」。「否」と申せば良心の呵責に苛まれ、「是」とすれども許される保証なく、聞かぬが仏か。

過去の履歴を追うにどうもそこに結びつけんとする作為が働いているように見えて好かぬ。さすがに「深夜」「銀座」「大人数」の三冠そろわば弁明の余地なく断罪やむなしも咎められるは軽率な行為そのものであって、そこにまん延を結び付けて糾弾するに別な意図がありはしまいかと。そもそもに四人ならばセーフで五人はアウト、どこぞの旅費規定ぢゃあるまいに一寸たりとも許さぬ、などといわれるとその矛盾をあげつらってみたくなるもので。

大人数はイカンと申しても何かしらの目安なくば判断に困る、一応の目安ということなのだろうけど、目安はあくまでも目安であって、そこに固執するに誤った認識が生まれかねず。四人ならば安心、それは単に断罪の口実を与えぬ「安心」に過ぎぬのだけれども、そんな油断が生じるはかえって危険、片やそれっぽっちのことでやかましく言われる位ならば早々に帰宅するに限る、などと負の連鎖が消費の減退に繋がったりも。

更に申せば、そこに見え隠れするはまん延を阻止せんとの正義感以上に自らの立場を守らんが為の自己保身だったりもする訳で。そんな下心は見透かされるもの。そのへん不器用な管理職は少なからず。事なかれ主義のまん延は成長を阻害する元凶ではあるまいか。

さて、本題。議長たるものはそれを超越した存在にて常任委員会への所属を免れる市議会がある、と聞いた。本市など威厳に欠ける、というか甘やかせてもらえぬ、むしろ第一線で働くべしと。行先は選ばぬ、残りもんで結構、などと大物ぶれば所属は総務委員会となった。市の職員録などもちゃんと「総務」企画局から始まる訳で、以前は第一委員会と言われた敷板高き委員会。

今年度は五年に一度の全体計画の策定が予定されておるそうで各会派の論客が集結。本当に私でいいのだろうか、と不安拭えぬままに一応の発言権を有する席を用意いただいた。初回は危機管理室による「かわさき強靭化計画」の報告。庁内における危機管理の専門部署として災害時には最前線にて指揮系統を担う、とされるも平時とて被害を軽減させるべく負わされる責任。

計画には住宅の耐震化はじめ、取り組むべき課題と目標が列挙されるも遂行する事業局は別。行財政改革とて然り、組織横断的に横串を入れて前に進めんとの下知を受けども独自の財源を持たぬ。あれやこれや口は挟むが銭は出さぬ、いや、出せぬがゆえに下手な干渉は当該局の反感を買いかねぬばかりか、進捗が捗らぬ責任やいかに、などと執拗な追及を受けたりする役回りも演じねばならず。

されど、相手を上手く説き伏せて当該局の仕事への意欲を喚起出来れば後は向こうが勝手に。んなことはないか。古来中国において弁舌巧みに各国を渡り歩く智謀の士を「縦横家」と称したとか。

(令和3年4月20日/2636回)