特観席

それこそが特権階級の証。庁舎前には黒塗りの公用車が用意されていて...。「公務ならば私も利用できるのか?」と尋ねれば「Nセンセイは議長経験者なので...」と意味不明の返事が戻って来た。
かと思えば、関係者以外立入禁止の向こう側に特別観覧席、いわゆる「特観席」があって、卓上には立派なオードブルの数々に冷たいビールが並ぶ。「会費は?」と訊けば「結構です」と関係者。議長経験者の口利きでの予約。さすがに最大会派の領袖ともなれば太っ腹だナなんて思っていたんだけど...。十年以上前の話。
昭和25年に第一回が開催されて以降、これまで長年の歴史と伝統を誇る川崎競馬。博打はテラ銭、胴元が儲かる仕組みだが、兎に角、中でも競馬は元手と管理費がケタ違い。そんな川崎競馬は経営改善を目指して平成12年に神奈川県と本市を構成団体とする一部事務組合に移行し、県議会及び市議会から監督役の議員が選出されるようになった。会派の構成人数に応じて「自動的に」配分されていたこれまでの慣例を打破して行われた選挙。
各会派から選出される候補者の推薦人は正副団長。以上の実績から誰それを適任者として推薦するから賛同を賜るよう云々と推薦文を読み上げるんだけど競馬といえば欠かせぬ勝ち馬予想。「まさに対抗馬ならぬ本命として...」なんてフレーズも脳裏をよぎったんだけど、拮抗した状態にて微妙な綱渡りとなるだけに不用意な発言は禁物。だからそういう時はくだらんウケなど狙わずに粛々とやるに限る。ということで勝敗は大方の予想通り順当に決まった。
それまでは最も当選回数の多い議長経験者の指定席にて推薦文を朗読する必要も無かったんだけれども、今回からはそうはいかぬ。推薦文を作成するにあたっては競馬組合の経営状況も把握しておかねばならず関係資料を取り寄せた。
神奈川県川崎競馬の経営状況を見るに、平成16年度末には過去最多となる約36億円の累積赤字を記録するも、その後は着実に経営改善を遂げ、単年度黒字が続く。東日本大震災後に暫くは赤字に転落したものの、平成25年度末にはそれまでの累積赤字を解消。本場入場者数は減少傾向にあるものの、在宅投票やJRA受託発売などが好調なことから平成25年度は構成団体への配当も予定されている。もしや、あの時のオードブルは...。
さて、春のGⅠシリーズ。先週のオークスでは3番人気のミッキークイーンが樫の女王に輝いた。2着は1番人気のルージュバックだが、3着はゲート入りをしぶとく拒んだクルミナル。ゲート入りを拒むってことは走りたくなかったんだろうけどそれでも3着に食い込むってんだから女心は分からんよ。いよいよ今週末は競馬の祭典「日本ダービー」。