平仮名

私もその一人にて候補者名のひらがな表記には様々な意図が含まれるのは御存知かと思われるが、特定の漢字表記が差別意識を助長することに繋がりかねないという全く意味不明な本市独自のヘンな解釈がまかり通っているらしく。次の定例会では正しい日本語について教育委員会に論戦を挑んでみようかと下準備を進めている。
さて、本題。話題の杭データの改ざん偽装。過去十年間に同社が関与した市有施設は12件とのことで、目下、その検証が進行中と聞いた。募る不安に公表を急ぐべきではないかとの声もある一方で全てに手抜きがあった訳ではあるまいし、公表した途端に蜂の巣をつついた騒ぎになるのは明白。ゆえに本件に限らず「事実関係をキチンと把握した上で処置を講じて参る所存です」などとひっぱるのがいつもの作戦なんだけど、それは遁辞というものであって何故にこれほどまでに時間を要するのか現在の進捗状況について事情聴取を行った。
前述12件の杭データだけでおよそ5千件、その確認に日夜に追われているとか。勤勉で正直な国民性、ましてや住まいとあればまさか手抜きなど...と性善説に基づいた制度設計。当初は一人とされた担当者も十人以上が関与した疑いが浮上し、ならば会社ぐるみ、いや、それ以上に他社も含めて氷山の一角では...との疑念が浮かんでも不思議はない。「実は建築確認が通ったヤツで違法な建築物になってしまったケースがすごく沢山あるんですよ。故意ではなく懈怠で...」とは過去の事件における国交省元幹部のコメント。
ガリレオの実験で有名なピサの斜塔とて未だ健在であるし、地震大国日本の耐震基準は他国以上にてそれなりの耐震性は有しているんだろうけど、かといって突然に驚愕の事実を知らされて安穏と暮らしていられる訳もなく...。無理が通れば道理が引っ込むの格言が如く耐震偽装は社会的に決して許されるものではないんだけど以前にもそんな事件があったナ。当時を振り返りつつ過去に学べるものはないかと一冊の本を読んだ。”偽装-「耐震偽装事件」ともうひとつの「国家権力による偽装」-(小嶋進著)”。
一級建築士による耐震偽装事件からはや十年。同氏は事件における不動産デベロッパー、つまりはマンションの販売会社、今は亡きヒューザーの元社長なんだけど、国会の証人喚問に呼ばれた際の「何を言っているんだよっ!ふざけんじゃないよ!」と恫喝まがいに声を荒げた場面だけが独り歩きして、マスコミ報道により万事そのイメージが定着。
世間様が描く当時のシナリオは「建設コストを下げる為に不動産デベロッパーと一級建築士が結託して耐震強度のデータを改ざん、その事実を知りつつマンションを販売することで私腹を肥やしていた」と、およそそんな認識ではないかと思われる(事実私もそうだった)が、著者は事件後に会社も仕事も家も、そして家族も失い、現在はマンションの管理・清掃員としての人生を送っているとか。