ゆりっこ

途中、腕章をした案内係に「もしかして市長さんですか?」と声をかけられた。徒歩で来るなんぞは「単なる」陣笠で御目当ての御仁は黒塗りで来るから...と自嘲気味に御返事したものの、やっぱりそれだけの風格と貫禄があるんだろうナとほくそ笑んだ。
が、暫くして気付く。多分PTA関係者なんだろうけどそちらに知られていないってことは全然知名度不足じゃないか。落胆を隠せないまま式典を迎えた。そう、地元の百合丘小学校の創立五十周年。昭和35年に地元の悲願であった駅誘致に成功して以来、わが国の高度経済成長とともに発展を遂げてきたわがまちの由来は百合の花咲く丘で百合ヶ丘。
当日の式典では川崎市教職員組合の支援を背景に当選し続けたSセンセイを御見かけしたんだけど、当時は約1千6百名もの児童生徒を抱える市内最大の小学校で4年11組の担任だったと思い出話を聞かせてくれた。しかも1学級50人で11組ってんだから...。
その教え子の一人がうちの事務員で既に私よりもひと回り、いや正確には...(最近もあったナそんな表現)、まぁそんな妙齢の事務員はおらがセンセイの御令嬢なんだけど現役当時に「Hちゃんは私の教え子だから勿論私に票を入れてくれるわよね?」と戸別訪問にやって来たとか。その位の押しがなければ選挙は勝てんぞと教わったのも昔の話、両名とも既に御隠居の身にて当日は隣合わせで談笑されていた。
そう、下町ロケットのドラマが人気と聞いたが、視聴率を左右するキャスティング。今回の実行委員長がK姓ならばPTA会長もK姓、顧問にもK姓が並び、校長先生も...とはいかぬまでも地元のツボを心得た見事なまでの配役に実行委員長の手腕、というか策士ぶり?が窺い知れる。この地元のツボってのが大事なんだよナ。記念誌の揮毫をされたK姓の筆頭格おらがセンセイも御機嫌の様子にて...ツボってそれだけ?。
式典では児童生徒が学年ごとに演技を披露してくれたんだけど個別支援学級の付き添いの先生が活躍。そう、本市として特別支援教諭の採用と育成に力を注いでいるんだけど、とりわけ百合小には評判のいい先生が在籍して居られて細やかな気遣いを見せる。
また、式典終了後には名物のゆりっこ合唱団による歌声を聴かせていただんだけどかなりのレベル。そんなゆりっこ合唱団の指導者は保護者の間でも怖いことで評判の先生らしいんだけど時にそんな先生も居ないと...。別に竹刀を振り回している訳ではないし、過保護は人を堕落させるから。
さて、現在、川崎市役所の庁舎前には幾つかの樹木が植えられていて、そちらに疎い私にはソテツ位しか分かんないんだけど各方面から寄贈を受けた由緒ある樹木が並ぶ。市の花がツツジならば木はツバキ。で、市内に樹齢二百年とされるツバキが市内某所に現存する御話を伺ったばかりなんだけど、今回の創立五十周年には実行委員長から御衣黄(ぎょいこう)って樹木が贈呈された。