鉄砲

麻雀なら七筒、競馬ならば放牧明けの第一走をそう呼ぶ。仕上がり順調といえども休養明けだけに過信は禁物。が、ごく稀にそこだけにめっぽう強い馬もいたりする訳で。大一番に向けた前哨戦的なレースが選ばれることが少なくない。障害者の伴走とまではいかぬまでも三浦市民マラソンを救護ランナーとして完走を果たした。
代表質問の登壇者はその後の一般質問を自粛するようになんて不文律があるらしいんだけど、最大会派の質問者数が他会派より少なければ有権者の皆様に顔向け出来ぬ。予算審査特別委員会は全四日、前半であれば機先を制すというか目新しい話題を報道が取り上げてくれるかもしれぬし、後半であれば当日迄に入念な調整が可能だからかなり内容の濃い質疑が期待出来たりも。
贅沢言えぬ立場にて最も手薄な日で結構と伝えておいたのだけれどもさすがに鉄砲の翌日、初日はちとしんどかったか。俳句の〆切も重なってレース中に詠んだ二句、入港にかもめ舞ひたる寒の明け、くつろげる祠の地蔵春日和、を足して何とか間に合った。肝心な質問は本市職員の被災地への派遣状況と市民館の開館時間の延長。
それっぽっち?いやいや、何もやらんのはどこぞの役所のようで好かぬ、やはり負託を受けた以上は何らかの実績を残して当然と事前の通告数は多く、世田谷町田線の渋滞対策などは前回に声を荒げた成果か七十名を動員して踏切の遮断時間の調査を行うとか。局長以下、幹部連中こそ本気度を示すと息巻くも、派遣要請は他部署にまで及び、どこからともなく聞こえてくる恨み節、「アイツのせいで...」。
そう、恨み節といえば、エラいセンセイ方による精選案に歴史教科書から聞き慣れた名前が消えるとかで一揆が起きかねぬ気配。日本史では川中島の両雄、武田信玄に上杉謙信、世界史ではかのガリレオ・ガリレイも俎上だとか。絶対的権威の威光を笠に撤回を求める相手に対して「それでも...」と貫いた信念。天動説から地動説へ、早かれ遅かれ真実が証明されるのは歴史の必然ながらも当人が歴史に残した功績は知ってて損なく。
一方の両雄とて領民に慕われる戦の天才、甲陽軍鑑は現世に通じる兵法書、たとえ敵といえども手を伸べる寛容さを備える「義」の人、謙信を学ぶ意義は小さくないと思うけど。脱暗記、詰め込みからの脱却、暗記中心から思考力重視へと。そりゃ否定はせぬけど、思考力を磨く為に知識の量を減らすとなるとちと違うのではないかと。
宣教師の名を答えよ、というよりもザビエルの助手ならば如何に布教をするか。回答の為には宣教師の名前以外に実績や時代背景とて知り得ておかねばならず、思考は知識の延長ゆえに疎かになるものでもないと楽観的に捉えてみても、その設問の正答は一にあらず、評点は評価者の恣意的な判断に左右されるだけに。やはり漢字テストが如く明確な正誤表があって、当人の努力次第で百点が狙える基礎知識は多いに越したことなく。
あくまでも聞いた話でセンセイ方の真意は知らぬが、教育は取り戻せぬゆえ。こじつけに近いが、宣教師と「鉄砲」の関係は各自で。
(平成30年3月15日/2417回)