骨折

十五夜ならず十三夜とは中秋の名月の「翌」満月だそうで...二日前の月ぢゃないんだナ。暦の都合上、厳密には必ずしも満月とは限らんらしいのだけど、当日限りとあっては見逃す訳にも参らず、「十三夜前夜の雲を追ひ払ひ」と一句。「十三夜そのものが夜ゆえ前夜は余計だ」と講評にあった。
ならばこちらはどうか。天高く馬肥ゆる秋。高台に見かけた蜘蛛も肥え太り「馬肥ゆる秋に蜘蛛の巣大きけり」とママに詠めば蜘蛛の巣は夏の季語にて一つの句に季語が二つ、つまりは季重ねとなる訳で「馬も肥ゆ軒の主の巣や広き」と詠み直してみたものの...「意味不明」と手厳しく。
食欲の秋に欠かせぬ運動。まもなく傘寿にならんとする鉄人が練習中に転倒、その後の違和感に医師の診断を受ければ膝の軟骨損傷だとかで手術に及び、経過順調にて復帰祝いと催された「焼肉」。周囲の食いしん坊連中の口実に利用された感否めぬも好物の焼肉が格安会費とあって...。
次々に届く途中経過。私なんぞは手堅く距離を伸ばしつつあるものの、低迷するチームの順位。同組のMさんが故障離脱にてその分を補うようにとの指示。もっと余裕のあるヤツはおらんのかと見渡せば今週の距離85kmを上乗せして284km、目標まで66kmなんてツワモノがいて何を隠そう隣組のリーダーなんだけど、やはりリーダーが...と直訴すれば、足で稼ぐのが政治家ではないのかと返信があった。ちなみに私は137km、残13km。
んなこともあってランの途中に立ち寄れば注がれる格別の一杯に囁かれる魔の誘惑、「生涯に走れる距離は決まっているから無理せぬほうがいい」と。最新の医学的知見こそ知らぬが、走りすぎて摩耗し、膝の潤滑油が尽きれば歩行すらもままならぬなどとは脅しに近く、確かに鉄人は会社の定年退職後に本格的に走り始めておるし。されどそこに筋力なくばそれだけ摩耗も早いなんて説もあって、まぁ個人差もあるみたいだからそのへんは...「運」だナ。
が、何も転倒は鉄人に限った話ではなく、息子が体育祭の練習中に転んで骨折、担任に詫びられたとか。おい、そりゃ違うぞ、自らの不注意で転倒したのだからそちらに責任は無い訳で。まぁ昨今なんぞは親子運動会で子の転倒に駆け寄った親が「治療費は誰が払うのか」と第一声。そんな心配が先に来る位だから過敏になるのも無理からぬ話か。
文武両道、武が疎かになっては文は生きぬ。懸念される子供の体力の低下。体力テストの結果が公表された。目標値100に対して本市の小学生99.8%、中学生94.0%とほぼ乖離なく及第点に見えなくもないのだけれどもそもそも目標値ってのが全国平均を「下回る」本県の数値だそうで、中学校2年生などは政令市の中で最下位だとか。
ならば市は結果をどう受け止めたか。「運動意欲があり、運動習慣も身についていると考えられる状況にも関らず体力テストの結果に結びついていない要因がある為、分析を進め、走り方や投げ方など指導方法の工夫改善に努める」と。もっと別なところに根本的な原因がありそうなもんだけど、模範解答としてはそのへんが限界か。
(平成30年10月25日/2461回)