用件

発言の断片が悪意的に抜かれること往々にして。本命の作品もキチンと見たはずも中にはんなことは知らぬ御仁もいる訳で隣の企画展にいる姿を目撃されれば誤解招かぬとも限らず。児童作品展の表彰式も来賓席から見えるポスターのあの冷徹ながらどことなく憎めぬ眼に睨まれては落ちつかず、後日改めて。運営収支厳しい最中の起死回生の一手となるか、連載五十周年記念特別展の副題はズバリ「用件を聞こうか...」。いや~よかったナ。
県立高校から議長宛に依頼があって無所属含む各会派一人が特別授業に協力することになった。私など得意とすれど一人五役六役を背負う団長の身にて誰か他に。んな時は一丁上がった議長経験者にと白羽の矢が立って了承されたはずも暫く後に所用を理由に当人が辞退、了承済と推挙された後任も都合悪く出席叶わぬ...と第三者の議会局から聞いた。そりゃ団の決定なのだから団長宛の申出がスジなれど役所を介して伝えて来るってのは...。尻拭いにて私が七役目を務めることになった。さながら自由研究の審査委員のような役回りなのだけれどもやはり若者相手ってのはいいね。
そう、特別授業といえば今年も授業参観を終えた。一時間目に設けられた特別授業は「将来の夢」。働いている方に話を聞いて仕事を知ろうとの趣旨にて保護者父兄に自らの職業を語っていただく。居合わせて振られたらかなわん、二時間目以降の参観が多そうだと娘。こちとらまいど朝礼からが慣例なのにそんな敵前逃亡など出来るか、所詮は小学生相手であって誰も居らねば私が...などと自信見せれば半数以上が私学受験の学級にあって担任の知らぬことまで知る今どきの生徒は「かわくない」と娘。
そんな事情知らぬ担任は準備に余念なく予め依頼しておけば...と呼ばれる御子息。「今日は先生に呼ばれなかったか」-「兆候もない」と息子。最初の登壇は看護師。用意された原稿を終えて冒頭の質問は「年収はどの位ですか?」。うん、確かにかわくないナ。遮る担任、さりとて、それが児童生徒の関心とあらば当意即妙、怯むことなく機知に富んだ切り返し出来ずば相手は図に乗る訳で。そんなませた生徒諸君に職業に貴賎なしとでも...機会なくチャイムが鳴った。
さて、前掲の小田理恵子センセイ、通称オダリエの著書に「パルプンテ」が登場し、もしやこやつも...。そう、ドラクエの呪文。小学生の時にⅢの音楽にハマって鍵盤を惹き始めたのがこの世界に入る端緒だったと語る楽団員。それでおよそ年齢が判明するんだけど、今やⅩを数える不変の名作。ファンならずとも知るすぎやまこういち氏が手がけるドラクエのコンサートに顔を出した。きっかけはやはり若者との会話。
郷愁を誘うというか童心に返るⅠの序章なんかは管楽器主体なれどクラシックの名曲に劣らず。オケ編成で生まれる重厚感はラヴェル編曲による「展覧会の絵」(原曲はムソルグスキー)を連想させる。所詮はゲーム音楽と侮るなかれ、映画然り名曲なくして大作あり得ず、埋まる客席がその価値を物語る。クラシックなどは御年配者多く、私などは若い部類に入るのだけれどもこちとら大概が私と同世代か年下。それを潜在的な需要と見れば悲観せずとも十分に余地はありそうで。
特有の権威と固定観念を断ち切れればの話だけどそのへんがやはり...。
(平成30年11月20日/2465回)