代理

英国留学の経験を綴られた御著書の存在は知り得ていたのだけれども安からぬ中古扱いとあって購入をしばし躊躇しておればその日を境に...。慣れぬ燕尾服に身を包み、それすらも僭越なのだけれども最後列にて立派な御身分の皆様と万歳三唱にて御即位を祝した。役職宛に届いた招待状、こればかりは「副」の代理効かぬ上にまさに「その年」でなければ機会なく、巡合の妙を喜ぶ、というよりも今日まで支えて下さった皆様方への謝意尽きず。
代理効かぬはこちらも同じ。秘書の香典が公選法に抵触しかねぬと。行かば不忠義、手ぶらとあらば常識知らずの悪評立ちかねず、それが陣笠ならぬ大臣とあらば多忙この上なく。違法は違法、そこに異論なくも身内失いし御遺族に弔意示すはそこまで批難浴びることか。むしろ、週刊誌の報道を好機とばかりに狙っとる連中のほうが人としてどうかと思うけど。
必要とあらばこちらから呼ぶゆえまずは被災者の救済に専念すべしと申し伝えるも日々届く情報の波。浸水被害に関する近隣への情報提供の順序が逆、つまりは我々センセイへの報告が優先されるべきではないかとの物言いが付いたと聞いた。そりゃさすがに傲慢過ぎてはおらぬか。一刻も早く救済をと願うが本来のあるべき姿であって、そんな時に限って特権を翳されても...。最たる例がその道の専門家を自称する当人が現地入して撤退は許さんなどと精神論に終始して失笑を浴びたいつぞやの事案に見るまでもなく時に不在のほうがかえって好都合だったりも。
それとて否定はせぬ、さりながら仔細つぶさに報告させて生む成果いかばかりか、助言したなどと申してみても慧眼と役人に言わしめるソレがどこにある。それでいて騒ぐ背景には目立ちたい、仕事をしていると見せたい願望が潜んでいる訳でそこまで言うならば貴殿の全財産を救済に向けてみればと思わんでもなく。そもそもにそんな善人でもないことは世間にバレとるのに善人ぶる、そこが政治家なるものが世に信用されぬ根幹かもしれん。目立つがウケる時代、口では都合のいいことを言っておきながら実際は...なんて。
確かに不都合な事実は伏せる、そんな心理が働かないとも限らず、そこを疑わぬほど善人ではないのだけれども各会派の団長のみならず全議員に対して説明の機会をと求める市長の申出に対して、これまでの(報告の)域を出ないのであれば無意味、と辛辣な御意見が寄せられた。あれだけ迅速な情報提供をと求めていたはずなのだけれどもハナからそれっぽっちなら要らぬとはあまりにもつれなくはないか。
そりゃ議会に対して報告したという既成事実を作りたい相手の下心を否定こそせぬものの早めに責任ある自らの立場でとの意図もある訳で。それはあくまでも相手方の善意、そこを酌んでやる位の度量がなくてどうする。あぁ言えばこういう、そもそもに物事を歪曲して見れない、他人様の悪癖にしか目が向かない御仁はいるもので、何がその明暗を分けるのか、そのへんはまたいづれ話す機会もあろうかと思うけど。正義感に燃えるは結構、さりとて、どうも当人の功名心が前面に見えてしまうのは私だけか。
(令和元年10月30日/2532回)