彼氏

思春期の娘に外出の行先、彼氏の有無を聞く父親は失格、と聞いて自らの優等生ぶりを娘に自慢したつもりが、「うちは娘が父親の行方を案じている」と妻。出張中の深夜に「今日は麻雀?」などと悠長なメールが届く無神経ぶり。ワイシャツが一枚足りねばそういうことでしょうに。

クマとて逃げるから追ってくるのであって、スマホのロック機能、指紋認証などは...。そちらのほうがかえって怪しいではないか、と告げれば、万が一の紛失の際なども機密のやりとりが表沙汰にならぬとも限らず、と運転手。いや、その時は万歳するよ。

そう、鬼籍に入りしOセンセイなどは入浴時の着信を奥方に見られて散々な目に遭われたとか。既に銀婚を終えとるのに旦那の行動に嫉妬するはそれだけ関心がある証。むしろ喜ばねばならぬ、と慰めてみたものの慰めになっておらんかったらしく、あの当時の落胆ぶりなど忘れられぬ。

閑話休題。海外ならずと自ら相手に機会を与えるようなものにて身なりは質素に限る。外見は気にせぬタチなれど肩書を背負わば話は別。一兵卒ならまだしも「長」とあらば市の名を汚さぬいでたち位は。年中開襟が理想もさすがにこの季節となれば襟元が寂しく。冬物でも、と久々に訪ねし百貨店。平日とあらば客以上に目立つ店員。業績低迷にノルマ課されてかギラつく目。不良少年とは目を合わせぬに限る、と経験に知るも視線合わせずと向こうから...。

それにしても気になる包装。んな幾重にもされてはゴミ増えるばかりか一目で百貨店と分かる紙袋を見られては一日を疑われかねず。他人様への贈答品ならいざ知らず、まずはそちらを見直してみてはどうか、と思わんでもなく。海洋汚染の元凶と批判浴びるレジ袋。存在そのものが悪の如く描かれるも厳に戒められるべきはポイ捨てに良心の呵責なき当事者たちの倫理観ではあるまいか。製造元とて意識が向いてもらわねばならぬは言わずもがななれど。

さて、昨今の巷賑わすは「新たな生活様式」。災害時における避難所運営とてそれを踏まえた形を模索すべきと新たなあり方等についての報告を受けた。彼らとてあらゆる事態を想定して一人でも多くの命を救わんと気概に燃えた傑作であることに疑いの余地なくも受験生の参考書が如く購入して中身を会得した気になっておらぬか、と老婆心ながら。作ることが目的化してそこで道が途絶えては。役所にありがちな無謬性のワナってやつで。

広く浸透させねばならぬ、さりとて、火事場においてソーシャルディスタンスなどとのカタカナを忠実に守らば収容人数など著しく制限されてしまう訳で。仮にそんな事態に遭遇したとしてどちらを優先すべきか、かえって混乱を招きかねやしまいか、との御意見も。東日本大震災における明暗。津波が来たら高台へ逃げろの教えが生んだ釜石の奇跡に対して指針への固執が招いた大川小の悲劇。

新たな冊子は過去の教訓に専門的見地を踏まえたものにて知るに損なく、指針とするに十分と知るもそこに命の保証なく。逆に、それこそが万全との過信に隷属的な意識こそ禁物。役所とて「自助」をタテに怠慢が許されるものにあらず、されど、何かにつけて役所の不手際と騒がれたりする昨今の風潮が裏目に出とるフシはあるまいか、と心配してみたり。これからが本番にて。

(令和2年11月5日/2604回)