挑戦

禁じられし行為は逆を返せばそれだけ効果的。ゆえに虎の巻など探さずと公職選挙法を入念に読み解けば自ずから為すべきことが分かる、あとは法に抵触せぬ境界をどう見極めるかだ、とはおらがセンセイ。健康を害しかねぬと知りつつもつい手が伸びるコンビニのスイーツ。やはり「禁断」とされる果実こそ格別に旨い、というか、そう思わせるもので。

相次ぐ中止にかろうじて残りしは人数制限のウルトラにトレイル位。スローペースのウルトラはまだしもトレイルは年齢的にキツい。もうやらぬ、と確かに心に誓ったはずも、禁断症状というか、大自然を駆け抜ける爽快感は他に代えがたく。未舗装の山道にて「踏ん張る」に別な筋力とそれを地面に伝える為のシューズが欠かせず、不退転の決意で...買っちゃった。

スパイクが如く突起が目立つ靴裏に厚さこそ変わらぬも固い素材は重い上に緩衝性に乏しく、着地の衝撃がモロに伝わる。トレイルに限らず、現役続けるに注意払うべきは「膝」にてその負担をいかに軽減するか。一見、容易に見える下り坂などは重力が加わる分、膝への負担は軽からず、それだけを目的にするのであれば上りに徹するが正解。

それはランの世界のみにあらず。川の流れに身を任せるも結構なれど、時に清流に立ち止まる、いや、濁流といえども逆らってみることで気づく視点もあるはず、などと退任する正副委員長相手の挨拶にて一席ぶってみたものの、どこまで響いたか。

膝の故障は衝撃に摩耗が原因と知らばいっそ走らねばいいではないか。いや、それを補完するは筋肉にて、そこが弱ければむしろ摩耗は早く、その強靭度とて個人差あり、結局は「運」次第って結論なんだけど、そんな話でよければ退屈はさせぬ。

そう、既成概念に抗った人物といえばあの御仁を忘れてはなるまい。調和とは同調ならず、ぶつかり合うこと、と。企画展「現代芸術賞」に招待いただき、作品群に触れた。来館者数は好調、とりわけ若者多く、「退館時には皆様が元気になって帰られます」との学芸員のMさんの談は偽りなき実感ではあるまいか。

天衣無縫というか型破りというか、その独特な作品も無造作に見えて葛藤を重ねた結露であることは付随する展示物が教えてくれる。あくまでも食わず嫌いを克服した帰結としてそうなるべきであって、こうあるべきという価値観の押し売り的なものに対する懐疑的な見方が出来ねば人としての成長が見込めぬ。いや、それこそが人生だ、と。

何よりもその無尽蔵ともいえるエネルギーがスゴい。何故にあの奇抜な作品群を作るに至ったか、そこに焦点を当てれば見方が変わる。絵画が性に合わねば彫刻、感受性に乏しくば活字。まさに先が見えぬこの状況下にあって人生の羅針盤というか進むべき一つの道を示してくれる著書の数々。

その道の名著とされる「今日の芸術」もいいし、当人が好んだ深紅のカバーが目立つ「毒」本もいいけど、イチオシは「岡本太郎の眼」。芸術に限らず幅広く網羅されていてとりわけ若者にはウケる一冊ではないか。いや、青春とは年齢ではない、と当人が語るように決して若者向けの本にあらず。既成概念に汚染された内なる枠を広げてくれる、というか、この年齢になっても挑戦を鼓舞される。

よし、走るぞ。

(令和3年4月10日/2634回)