哲学

推奨される薄底に揺らぐ結論。レースに見かける裸足に近いサンダルの走者は奇人ならぬ「意識高い」系と最近知った。

鍛えた脚力を生かすは「薄」に限るも衝撃による負担や故障リスクを鑑みるに「厚」が理想、というのが大雑把な経緯。が、指に足裏、足首に膝、ヒトの身体は精巧に出来ていて本来の機能で十分に代替が可能。正しい姿勢、走り方の習得を目指すべし、とあるも、そこに悩む判断はもはや「哲学」の領域に近いとか。ということで本題に。

目立つ政権批判、得意げに話してみても独善的というか価値観の一方的な押し付けであって、自らの権威を誇示せん、との意図が透けて見えて。聴く側、いや、聴かされる側とて合わば納得、合わねば嫌悪、そこに成長なく。能力主義社会において過去の努力や否定せぬ、が、何故にその地位に上り詰めたかに想い馳せらば「謙遜」が生まれ、運に恵まれた自分は共通善に貢献する責任があることに気づくもの、と。

「薄底」本に夢中にて最新刊「運も実力のうち」ならぬ「実力も運のうち」は未読なれど「中央公論」の寄稿に知るおよその中身。批判のみならず、その先鋭化された対立を「昇華」させて社会をいい方向に導かんとする議論の誘導こと当人の真骨頂であって、こんな教授がいれば大学の授業ももっと魅力的なものになりそうなもんだけど。

あのパワハラとて。改善せんという意欲以上にオレたちのほうがスゴいんだぞという自惚が勝ってしまう、そりゃ立場的にもそうであるし、才能も否定はせぬ、が、ヘーゲルの弁証法でいうところの「アウフヘーベン」というか、「共に」課題に挑み、克服せんとの姿勢があればあのような告発文とは違った展開になりそうな気も。確かに役所の常識は世間の非常識、視野狭き役人の怠慢もあるのだろうけど。そのへんの折り合いがどうも不器用らしく。

意向調査とはあくまでも名目。有無を言わせず達成あるのみ、玉虫色を許さぬ「脅し」に近かったとか。徴兵に兵力は確保するも肝心の兵站やいかに。いや、それは隣の省庁のことゆえ、と言われれば憤慨するに当然。いや、そのへんの微妙なニュアンスは知らぬ。が、そこを拒んで政争の具とするは不本意、何よりも接種を早くとは国民の願いにて、目途が付かぬ中でも作戦を遂行する決断を下した、と報告を受けた。

「直電」に見る指揮官の苦悩、追及に執念を燃やす猛者を相手に十を聞いて十を伝えるに招く混乱。交渉中の情報が洩れては折角の計画も頓挫しかねず。細事まで「全員」の了承を求めていてはまとまる話もまとまらぬ、伝言ゲームではあるまいに。口約束に弾薬の到着を待ちつつ最前線にて奮闘する面々に背後から弾を撃つやつがあるか。

目下、そこにかけるバイアスに腐心しておるのだけど、取捨選択に咀嚼の加減、情報操作の判断基準や、いかに難局を乗り越えるかにあり。このたび公表されし大規模接種会場の確保とて経過報告は前々から。言えぬ秘話などごまんとあって。いつの日か振り返って、互いに国の為によく働いたな、と健闘を称えあえる日が来ることを願いつつ。

(令和3年5月20日/2642回)