筑駒
また、恩人が逝かれてしまった。身に覚えなき診察に期せず目にした診断結果。忘れられる恐怖に勝るは忘れゆく恐怖。抱く不安に悩む日々やいかばかりか。
最後まで肌身離さぬ「川崎市議会」の手帳の最後の頁に記された「にんちしょう」、途中には孫が合格した校名に赤丸印があったとか。大往生といかぬもほぼ人並みの年齢に往生遂げしは生前の御人徳の賜物か。合掌。
炎天下に三たびの発令が目前とあらば躊躇して然るべきも。月一回のスポーツ交流に続々と集うは障害者の皆様。その旺盛な意欲にいかにしてかサボらんとしたわが身を恥じつつ。休憩時の話題は言わずもがな。
接種は順調か、と聞かば、一部に優先接種が認められると聞くも一部とされる具体的範囲が分からぬ。予約困難な当事者の代理予約は可能か否か等々、いつもの担当に尋ねるに専門の別部門に確認するゆえしばし猶予を、と回答に時間要するはその連携に難ありか、と相手。
「多忙」であることは誰の目にも明白。ゆえに余計な負担をかけさせぬ為にも必要な情報は勝手に入手するわい、と市のホームページを見れど五月雨式に情報を更新しとるだけで利用勝手がよろしくない。鳴り止まぬ電話に追われるはそのへんが災いしていたりもして。まずは利用者本位に情報を整頓してみてはどうか。
さて、宣言下。形骸化しとる、に続くは「若者」の二文字。三十代以下が半数以上を占める、との報道に見る悪意。当人たちの身にもなってみなされ。政策判断として後回しにされた挙句に接種進まぬ罪を着せられても。
ましてや、ここにきて、これぞ頼みの切り札とされた起死回生の一手とて変異株にもう一回、などと言われるに揺らぐ判断。不自由から解放される確証、いや、希望的観測に踏み切った人とて少なからず。追い詰めんとするウラにオレたちは苦心して打ったのだから他の連中も打って然るべき、逃げ得は許さぬ、との同調圧力ならぬ嫉妬心とて。
必要量を確保出来ぬは政治の怠慢と言わんばかりの大合唱。も、方やそこに手にする利益や騒ぐほどに上がる訳で。人類の危機を救わんとの使命感や否定はせぬ。が、患者の病気が続いてくれたほうが病院の収益が安定するという自己矛盾は「クスリ」とて同じ。
治療から予防への転換に生ずる新たな予備軍は宝の山、現実ならぬ可能性、「リスク」に収益狙うはビジネスの知られざる極意。従来、推奨される予防接種などは紆余曲折に今日を迎えるも、今回などは兎にも角にも急げ急げの風潮に慎重論を唱えるに封殺されかねず。黒死病の再来、と申してもあの当時は路上に骸が転がる地獄絵図。
任意接種の限界に囁かれる「強制」の二文字。相手は慈善団体ならぬ営利企業ゆえヘンな力学が働かぬとも限らず。そんなプロパガンダが生むは社会の分断に対立の助長。接種を拒む御仁とて何もまん延を望んでいるものにあらず。欲せど叶わぬ状況こそ改善されねばならぬ。が、「したせぬ」の有無を意図的に話題に上げるなんぞは。
(令和3年8月5日/2657回)
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