読モ

仕事帰りに立ち寄りるは練習場。憎き相手を浮かべて叩く爽快感こそが上達の秘訣だった、とTさん。シングル、などと大仰なことは申さぬまでも、せめて「人並」に、と足しげく。

一緒に回った際にあれこれと指導されるは相手の純粋な善意と知れど、当人とて「一応」真剣にやっとるのだから。そうなると酒席の説教が如く焦燥感だけが募り。一つ意識すれば一つ忘れ、全部意識するに動かぬ身体。これではストレス解消どころか余計に。今に見てろよ。

何も「振る」だけが愉しみにあらず、「読む」最高傑作とオビの入った夏坂健氏のエッセイに癒されており。文中に登場するは英国の名門二校による伝統の一戦を描いた一話。対抗心は尋常ならざるものがあって、選抜十人によるマッチプレーに詰めかける観客の重圧や全英以上とか。

ラグビー早明戦のチケットを入手したと友人から。名門とはおこがましい上に、互角と呼ぶに程遠くも敵は都の西北になければならず。昔は知らぬ、が、少なくとも私の頃など偏差値の差は歴然として。受験に失敗した恨み諸々も全て凝縮されてか、その一戦やまさにこちらの為にあるようなもので。

試合後はノーサイド、とはならぬ。歌舞伎町のコマ劇前を占拠するが勝者の証。勝てば当然、負けてもそこは譲らず。徹夜のどんちゃん騒ぎに最後は校歌の大合唱。あの熱狂ぶりや英国に劣らぬ。一種独特の雰囲気は両校のOBならずと体験してみる価値は十分アリのイベントだと思うけど。

ゴルフにラグビーとくれば次なるは。地元の支援者から依頼を受けるは相談ならぬ対戦。種目はボウリング三ゲーム。私のスコアは110-150-151。対する相手の成績や174-141-110にて14ピン差の敗北。決して譲った訳ではないのだけれども、いかんせん相手が悪い。

激闘を制して勝ち誇る相手の年齢や八十三。大人げないよナ。いや、こちとて負けちゃいない。生き恥を晒す位ならば票など。凋落の兆し見える相手に年甲斐もなく泣きの一勝負を挑んだものの、137の私に対して161と、まさに完敗。それにしてもその齢で174なんてのが出るのだから医療費の負担割合も見直したほうがいいかもしれぬ。

そう、読者モデル略、「読モ」にグラビアと聞いて年甲斐もなく立つ耳。不埒な妄想に身を乗り出した手前、退くに退けず、出版の暁には、と世辞を述べて数日後にモノが届いた。誌面に登場するは話題の区長。区の宣伝と吹聴するは結構なれど、「読モ」に抱く違和感、というか、それこそがまさに年甲斐もなく。ではあるまいか。

そう、何も仕事帰りに立ち寄るは練習場のみにあらず。五十歳の自閉症の息子との親子愛を描いた映画「梅切らぬバカ」。あの女優の名演もさることながらその視座に学ぶこと多く。おすすめの作品。

(令和3年11月20日/2678回)

追伸:「読モ」記事は以下からダウンロード可能にて。

http://www.mismonet.com/pub/annex/32923/