火花

その瞬間、議場がざわめいた。正確には「気がした」と語尾を伴う試合後の感想。うむ、多分に「気のせい」なのだろうけど、別筋からは「議会史に新たな一頁を刻む一幕だった」との声が寄せられ。庁内の人気を二分する女同士の対決に火花が散った、記されずと言わんとするはそのあたりか。

区長の登壇は稀、二人しかおらぬ女性区長が時同じくして登壇したとなれば。単なる偶然の産物をそういう構図に仕立て上げるところに策士ぶりが見てとれて。冗談はさておき、代表質問を終えた。

複数の課が絡む案件は必ず両者を同席させねばならぬ、と教わった。競争働かぬ世界にて放っておかば腐敗するが組織。局により生ずる温度差の解消を狙って一元化を図らんとする一つに施設の長寿命化があって、資産マネジメントと命名された方針示され。

昨今は施設の売却や指定管理等、民間に委ねることで市の負担軽減が図られるも、その後の修繕をめぐる市と事業者側の押し付け合いは目に余り。直営とて他部門から口を挟まれるはいい気がせぬもの。現場の苦労も知らずして、と恨み節。介入するほうとて何も好き好んで口を挟むにあらず。

募る鬱憤に反目、責任だけが相手方に被せられては利用者の為ならず。そのジレンマやいかに、とぶつけており。いや、んな大上段に構えずと、あそこの修理はいつやってくれるのか、それこそが関心事。それは地元のセンセイの一般質問にて。

そう、新たな任期とあらば抱負の一つも、いや、多選の弊害が指摘されて久しく、腐敗するは権力とて同じ。むしろ問われるべきは公約の実現性。急所を知れど悩む脚本。対立か宥和か、宥和が過ぎては監督役の責務を果たせず。そのへんの塩梅こそが。

緊迫する情勢に原油価格の高騰。世界の資源争奪に翻弄されてきたのが我が国の歴史。石油依存からの脱却を目指すべく、太陽光はじめ様々な再生可能エネルギーが模索されるも未だ代替となる資源は見つかっておらず。それこそが次世代だと、水素社会の実現が公約に謳われており。

それ自体がクリーンであることは分かった。されど、その製造の過程を見ればどうか。カーボンニュートラルなるものの定義とて。いや、仮に実現できたとしても石油や液化天然ガスと同様にその原料を海外からの輸入に依存せざるを得ないとあらば払拭できぬは安定供給への不安。そもそもに国が主導すべき分野への挑戦は結構なれど前のめりに手痛い火傷を負うことのなきよう、と。

次なるは「地域新電力会社」の設立。聞かば本市が出資して会社を作るとか。電力の自由化に多くの事業者が参入を果たせど、会社更生法の適用から倒産寸前の事業者も少なからず。よもや退職後の天下り先の確保にあるまい、公の自治体があえて参入する意義やいかに、と牽制球。

もう一つは、完全循環型100%プラリサイクルの実現。ペットボトルのみならず更なる分別回収が欠かせぬ、その費用の増減やいかに、等々。

(令和3年12月10日/2681回)