G社

「フィスト・オブ・ノーススター」なるミュージカルが好評と聞いた。空前絶後のあの人気を鑑みればカタカナ表記が賢明だったやもしれぬ。前職時代の同僚、G社勤務のM君によれば御一緒に鑑賞した奥様に「この正月に原作を一気読みする」と言わしめた出来とか。それは押さえておかねばならぬ。やはり原作とは無縁の事情通に聞かばフランク・ワイルドホーンの音楽だけでも聴く価値あり、と。それにしてもあの漫画をよくミュージカルに。そう、原作は「北斗の拳」。

さて、定例会の全日程を終えた。他人様のことを言える身分にあらねど、教わること少なからず。それを伏してやるところに妙味があるのだけれども、我こそは偉大なり、と言わずと仕草に現れとる御仁もおられたりして。さも自らの手柄が如く語られるさまはむしろ底の浅さを露呈するようなもので。んなものは誇らずと勝手に広まるものにて言うだけ野暮、むしろ手柄は他人に。私欲勝るは先生の寵愛を受けんとする園児に同じ、幼少時における親の愛情が足りぬ証、と教わった。

依然と話題に上がるふるさと納税。流出の影響や軽からずも流出を阻止せんとするに決定打なく。選択肢が納税者側にある以上、フラれた元カノを追いかけ回しとるようで。返礼品なる損得が動機の一つやもしれぬ、が、他に手を差し伸べんとするを善意と見れば何もそこまで自らを卑下せずと。

師走とあらば不思議と寄せられる相談も多く。届いた封筒の宛名が故人の名。時に死亡届が発送に間に合わぬこともなきにしもあらず。が、表面には「納入通知書」の文字。はて、保険料は一括前納のはず。返還金こそあって然るべきも追徴金など。同封の一枚に記される「期限」の文字。死去に伴う保険料算出の基準日ということらしくも太文字の「納付」「期限」を見れば誤解を生みかねず。もそっと相手の身になって文面を、と改善を求め。

認知症が進む御主人の介護は限界。と施設に預けることになったものの、施設内における癇癪が目立ち、再考を求められていると奥様から相談をいただいた。そんな利用者の相手をせねばならんのだから鬱憤募るのも無理はなく。増大が見込まれる需要に人材確保は焦眉の急にて進む処遇改善。奏功してか資格取得は人気の反面、懸念されるは質の低下。介護職ほど杓子定規が似合わぬ職種もなく。

厳格にマニュアルを遵守しとるだけでは足りぬ、いや、マニュアルにないものはやる必要がない、と就労に対する価値観の違いが施設内に軋轢を生み。相手に直接告げるは口論の元。放置しとく責任やいかに、と矛先を向けられるは施設長に留まらず。市とて実態把握に立検を実施せよ、などと内部告発と思しきその手の相談も少なくないとか。法的な瑕疵でもあらばまだしも根拠なき介入は更なる混乱を招きかねず。

「それはあくまでも施設側で」と肚にあっても言えぬが役所。施設選びはくれぐれも慎重に。

(令和3年12月25日/2684回)