真鱈

温和な人柄と几帳面な性格は地元の信頼厚く。父亡き後の御子息も適齢期とばかりに勧誘が絶えず。その能筆ぶりや父に劣らぬと聞いて。血は争えぬ、天国の父君もさぞ、と感想を述べれば。字が下手ではいい大人になれぬ、と部活動の合間に顧問の先生の手ほどきを受けた成果で、と。

そんな母君は越後の同郷にて何かと御厚意に預かること少なからず。今年は土産に御手製のたらこの煮付けをいただいた。郷里から届いたという食材はほおばってこぼれる大きさ。食べ応え抜群な上に味付けも最高で。

ちょうど一年前など、重なりし身内の不幸に失意に包まれていたTさん。前日は娘の友達が親子にて大根掘りに、と笑顔が戻り。きれいに手入れされた芝上に転がるボールが物語る熱中度。

グリーンにパーオンはするものの、そこからが振るわず。冴えぬパットの理由や視力というのが本人の分析。日常の眼鏡をつけてプレーするも、やはりどこか狂うらしく。専用のメガネを買うべきか、と真剣に悩む本人に、「ぜひ、買うべし」と背中を押した。

全国市議会議長会の会長職は任期二年の輪番制。ブロック内における政令市の存在大きく。当時、その座を射止めんとするに立ちはだかるりしその市の壁。説得というよりも襲撃、まさにあの映画を地でいく気迫だったとか。

んな市にあって任期を越えて議長に居座る、もとい、続けられるに実力が窺い知れるものなれど、んな当人から突然の着信。メールならぬ直電とはよほどの重大事に違いない、と応答すれば、「間違った、すまん」と。やはり年の瀬。互いの近況報告に再選後の再会を約束して受話器を置いた。

そう、抗争はそちらのみにあらず。こちらは仁義ならぬ自由か規範か。年齢要件の緩和に支給額の増額、とあの手この手も伸びぬ充足率。民生委員の話。町会長の推薦に適否を委ねられるは区の推薦区会。複数人を以て構成される会の一席を占めるは市議とされ。

輪番制にていつぞやにわずかだけ身を置いた経験あり、んな時に限って。町会長の推薦ある以上は「追認」が順当のはずも、ある候補の選考に付きし「待った」。彼の評判を耳にするに認める訳にはいかぬ、との発言に固まる周囲。下手な発言は却って、指名されぬことを願いつつ、じっとうつむいて。で、その後はどうしたか。忘れてしまったよ、何せ昔の話にて。

が、今回は発動されし拒否権に現場が紛糾。推薦の町会長まで巻き込んだ大騒動にまで発展しとるとか。そこの経歴に記されるは「市議」の二文字。市議の兼務を認めるべきか否か。出来ぬとの規定が無い以上は拒まれるものにあらず、との相手に対して、ないからこそ、と切り返して、さも自らが正論と演じるは。

言わんとすることは伝わるのだけれども。そこに規範を課さば何の権限あって、との反発は必至。ただでさえ人手不足だというに折角の人選を却下するとは何事か云々と双方譲らず。市議会まで飛び火して答弁を求められる局長は寝たフリなど出来るものになく。

よいお年を。

(令和4年12月30日/2755回)