実寸

かたや水族館と映画のセット券、他方は旅館の宿泊券、所持は別人なれど、いづれも「ペア」だそうで、一緒にどうか、と。異性ならば兎も角も。誘う相手を間違えておらぬか。ましてや、四年に一度の。いやいや誘われるうちが花。何よりも人を見るに同性の人気こそ、違うか。

戦乱の世に統一を果たすは秦の始皇帝。その道のり描く漫画「キングダム」。横山三国志とて全六十巻、既にそれを超える巻数に及べど未だに一国も。趙の李牧の前に絶体絶命の窮地に追い込まれた秦の将軍、桓騎。残忍な殺戮好む部族の頭目にて兵法とは無縁に見えし当人が見せた陣形におののく相手。

深夜まで煌々とつくかがり火、いや、事務所の照明、何をそこまで、と向かいのYさん。駅前に事務所構える県議の話なれど、もしや桓騎が如く。陣形に隠されし謎は最新刊にて。マニア過ぎたな。

代表作を起用したポスターが目を惹くエゴン・シーレ展。独特の作風は知られたところなれど、当人の経歴に見る「投獄」の二文字。そんな事実が市場における価値を高めていたりもして。ちなみに、罪状は「猥褻」、その獄中手記が何とも。そのへんの解説はまたいづれ。

美術館、博物館の集客に欠かせぬ展示品。さりとて、その数や一つにあらず。何ゆえに本件だけが「特別」に扱われるのか、他と同様に机上配布で事足りはせぬか、と隣りのS君に同意求められ。

そもそもに行政文書にそのカタカナはどうか、常任委員会における所管事務の報告の一つに「平和館展示アップデート」なる項目あって。展示物が更新されるとか。聞かば、新たに焼夷弾の実寸大の模型を作り、入館者の方に触れていただくことで、平和学ぶに本市の平和館「しか」ありえぬ、入館者数が伸びぬ理由は宣伝の不足、と本気で信じとる感覚こそが世間様とズレとるように見え。

さりとて、長年、あの会派が求め続けてきたことが晴れて成就したのだから大目に、と静かに聞き入っていたのだけれども。待ってましたとばかりに始まる質疑や我田引水に近く。常任委員会の俎上に上がっただけでも金星というに、それでも足りぬというならば。

終わり見えぬウクライナ情勢、戦うに武器が足りぬ、との訴えに応じる国々。報道にて英雄視されるに違和感というか一抹の不安抱くは私だけか。殺し合いの「道具」ですぞ。求めるほうも供するほうも。

取らば更なる戦禍の拡大、放せど命の保証なく。そこに暗躍する商人。そんな現状を何と心得る、と迫らば、平和的な解決こそ云々と。ならば端的に聞こう、武器の供与にイエスかノーか。あれがわが国であれば「反対」の大合唱にあるまいか。

悲惨さを伝えるに結構、否定はせぬも、そこで思考が停止しており。それこそが「彼ら」の欺瞞であって。真に平和を語るならば美談のみならず。崇高な理念の実現には安からぬ代償が伴うということを。珍しく声を荒げてしまったけど、ちゃんと会議録には残っておりますゆえ。

(令和5年2月10日/2763回)