初蝶

最多の当選回数を誇るあの御仁がついに始動と聞かば浮足も立つに、背広とて消耗著しく折り目薄れるどころかボタンまで。修理を頼めど妻のそっけない返事に腰を上げるは思春期の娘。どこからか裁縫具を取り出してものの数分で。初蝶やほつれ直せる女に育つ、と親バカの一句を詠んだ。季語は「初蝶」。

単なる「延伸」では心に響かぬ。たかが六キロ、されど六キロ、そのフレーズに「ぐぅーっときた」とは前回に初めて投票して下さった有権者の感想。まさにラストワンマイル、その六キロの為にどれほどの遠回り、時間的な損失を強いられたか。並行して走る私鉄の両駅、あざみ野と新百合ヶ丘を結ぶに格段に増す利便性。相鉄と東急の直通に先を越され。

本市を挟む両市の区画整理に広がりし道路。残るは本市域のみ。それもたった数百米。尚且つ、居住者なき山林又は畑とあらば、何ゆえに、となるのは当然。隣市の市議より開通の見込みやいかに、との質問が寄せられ。

数多ある路線を同時並行に進めるに足りぬ人手と財源。重点路線を定めて効率よくとの狙いに異議は唱えぬ。並行して走る三本の路線に付される優先順位。第三位とあらば計画に路線名すらなく、まずは計画にキチンと明記して貰わねば、と局長との直談判に及びしは数年前。

縦に並ぶは路線名、横は時間軸。五年一期の事業計画。マスの中に記される目標。第一位の「完成」に一マスずれての第二位の「着手」。土地の買収が絡む以上は相手があっての話、不可抗力に誤差はやむなし、とばかりに五年の猶予を認めたはずも。当初は「完成」とされた期間内にも終わらぬばかりか、次路線の「着手」まで延期するはさすがに解せぬ。

もし仮にそうだとするならば、前後の路線は「連動」と大きな字で予め明記しておくべきにあるまいか。当時とてこの期間内に第一位が完成するゆえ、その後に、との局長の言葉を信じて、ならば待とう、と許したはずが。たかが五年、と有権者に顔向けが出来るか。待たされる身にもなってみよ、五年「も」だ。尚且つ、「着手」と申しても工事の着手ならぬ用地買収、いわゆる「用買」の着手であって。

猶予を生かしきれなんだはそちらの責任。二路線を同時並行に進めるが筋にあるまいか、と迫らば、常任委員会にはキチンと報告しており、既に一般に公表されとる以上は計画の変更できぬ、と。いや、そもそもにその期間内において必要な財源を確保した上で完成を目指したのだからスライドされるべきは完成が延期された路線に伴う予算額であって、次路線の予算にあるまい。

一つの路線が終結せねば次に進まぬなどというのは先延ばしの口実に過ぎず、ならば、五年といわず単年度の進捗を逐次報告せよ、と意地悪の一つも迫ってみたくもなり。いや、それこそが最も流動的かつ不安定な要素なのだから計画以外の路線、少なくとも次路線、いや、次々路線位は状況に応じて先行取得を可能とすべし、と検討を促しておいたのだけれども。

いや、単にその路線だけ位置づけてくれれば。続きは改選後に。

(令和5年3月20日/2770回)