髪型

打席に立つはチームの三番、というけれども明らかに他の選手よりは一回り大きく。フルスイングの風圧は画面のこちら側にも。んな相手に直球のみの真っ向勝負で挑む投手。声援おくるアルプススタンドに必死に白球を追う球児たち。最終回二死二三塁、あの巨漢の全力疾走にヘッドスライディングは高三夏の最期にふさわしく。

あれがドームであればこれほどの感動を生むだろうか。かつては過保護、子煩悩な親の言い分などと揶揄された学校の冷房化とて今にしてみれば。分かれる賛否。球児たちの髪型とて。

高三の夏、賞状とメダルを片手に笑顔を見せるイケメン男子。かつて丸刈りがよく似合いし柔道少年も今やすっかり。高校からは親元離れて寮生活を送りし努力が実を結び。全国制覇こそ逸したものの、推薦にて大学への進学を決めたとか。大きくなったな。

栄養を摂取するも口。咀嚼できねば老化の進行早く。悲しいかなその重要性に気付くのは虫歯に中されて以降。口は万病の源。虫歯を根絶せんとするは自ら枯渇を招くようなものなれど、推進するは万人の健康を実現せんとする彼らの矜持に負うところ大きく。事実、先行する新潟県など成人後の歯周病の割合は目に見えて低いとか。

政令市においても広がりを見せるフッ化物洗口。乳歯から永久歯への生えかわり期こそが将来を左右するというのが定説にて日々のうがい一つで思わぬ効果が生まれると知るに。が、そこに立ちはだかりしは現場の壁。実施するには過度な負担が生じかねぬ云々と。効果そのものを問うならばまだしも運用面の負担が理由とは何とも惜しく。

およそ口腔衛生の推進を図らんとするは庁内において健康を司る部門なれど、実際の運用を担うは教育委員会、というか学校現場であって、そりゃ確かに学習指導要領にはないかもしれぬ。が、子供たちの健やかな健康を願うに一寸も協力せぬというのは。

本市のN君なんぞは再三再四と行政側に詰め寄るも壁や破れず。万人の健康を実現せんとやっとるのだから、んな答弁にあらずとも、とまいど質疑を拝聴しとるのだけれども先行事例に学ばぬかとのN君の誘いに訪ねるは神戸市。負担が増えるというのが相手の言い分ならば、そちらの負担を増やさぬ、つまりは外部の協力を仰いで。外堀を埋めて実現を図るばかりか、口腔衛生の専門部署まで。

視察といわばどこかやっつけ仕事、というか、向こうとてまさにフッ化物洗口が如き余計な手間に見えなくもなく。やらされている感が露骨に見えるときもあれば逆とて然り。時に消化不良に終わるときもなきにしもあらず。さりとて、んな難産を経験した職員とあらば説明とて心がこもるというか、市民の健康を実現せんという意欲に溢れ。

仕事に向き合う姿勢に市境なく、その姿勢に多くを学ばせていただいた。たとえ、相手が誰であれ自らの説明が相手にいかに伝わるか、抱える課題とて然して変わらぬのだから相手からより有益な知識を得んとの努力は惜しむものになく。

 (令和5年8月20日/2800回)