大盛
理系を理系たらしめる一つや「実験」。結果が得られるまで下校かなわず。実験ならぬ解剖を有する医系とあっては。寮生活に週末以外の帰宅は許されず。週明けの早朝に娘を送り届けし父親が見た光景や朝日を浴びて馬を磨く馬術部の生徒ら。こういう生徒たちこそがいい医者に、とゴルフ仲間のI君。
物騒な時代、隔離されがちなキャンパスにあって中をのぞくに。入学後、初めての学園祭に私以外の身内で。とりわけ、当時は学園内で圧倒的な人気を誇った、とされる元局アナの義妹。物怖じせぬ大胆さ、年齢を感じさせぬノリでキャンパスを闊歩するに。さすが妹、と妻。そんなにスゴかったのか、と子に聞かば。確かに存在感は抜群。でも、ちょっと、いや、「かなり」浮いていたかも、と息子。だよな。
いや、実のところ学園祭にあらずとも出入りは自由、と娘。子に関心なくも今どきの学生の動態は知るに損なく。ランの格好そのままに、ヘンな視線浴びることなく。目指すは学食。学生あふれる中に日替わり、アジの大葉巻きフライ定食を。小鉢一つを追加するに一千円とは味、量、値段とイマイチか。
キャンパス外、通り向こうに看板を見るはH食堂。大入の店内にて切り盛りに追われるはおばちゃん。メニューに並ぶはおふくろの味。そうそう、こういう昔ながらの食堂が学生たちの胃袋を。ごはんの量を聞かれるに昔ならば間髪入れずに「大盛」と宣言するところなれど。さすがに昼の二軒目とあらば。
多様性が推奨される御時世、教授とて例外に非ず。というか昔から教授なんてのは個性的なのが多く。女子への贔屓が露骨な教授おり。自慢にならぬバカ正直な息子が回答の間違いを指摘するに、君はレッドカードだ、との宣告。それが意味するは退場、つまりは単位の没収、ということらしく。
あの教授相手によくぞ申した、とはサークルの先輩含む周囲評。されど、おさまらぬはその人。んな理不尽な話があるか、と烈火の如く。何も間違ったことは言っておらぬ、ただ正論を、と弁明する息子に、その反抗的な態度こそが虎の尾を。留年なんぞ断じて許さぬ。明日にでも謝罪に、と妻。何ゆえに詫びる必要などあろうか、と子を擁護するに。そもそもに聞くほうとてそこに居合わせた訳ではあるまいに。
そう、不穏さを増す隣国との間。それが意味するは謝罪か、はたまた。局長級の会合も不発、関係悪化は総理の失態、などとコメンテーター。ならばおぬしはその会合に同席したのか。そもそもに険悪か否か、なんぞ当人の主観でしか。人の不幸は蜜の味、不仲説は周囲こそが騒ぎ立てるもの。険悪さ増すは当人以上に周囲に負うところ大にして。
とするに、それこそが放送の使命とばかり、当人の勝手な妄想を公共の電波で流すは。いや、流すも勝手ならば見るも勝手。ランにゴルフに読書等々、何か没頭するものあれば。むしろ、ストレス少なく健康的にあるまいか。
(令和7年11月25日/2962回)
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