鵜匠
彼らの前で一席ぶった手前、今さら辞退とも言えず。挑む以上は醜態を晒さぬよう。夏のトレイルに向けて。山ラン後に立ち寄りし地元農家の直売にて目立つはその色。甘夏一つ、代金を不用心に置かれた空き缶に入れんとするに背後から「ありがとう」と。彼が生産者か。厚い外皮だけ剥いてあとはそのまま。やはりラン後に食すは柑橘に限る。
選挙まで一年。と申しても市議ならぬ県議。政党の公認さえ得てしまえば、傘下には市議がいる訳で、あとは鵜匠が如く。いやいや、当人の場合、鵜の数が足りぬばかりか、新人とポンコツの現職とあっては自らが鵜となり。
動くに制約が課されるもこの頃であり、単独で目立ちすぎてはならぬ、つまりは、のぼり旗にせよポスターにせよ本人以外に少なくとも相手を一人。ということで県議ののぼりに見かけるは私の顔であり。何とも頼もしく、足を向けて寝れぬ。
そう、かろうじて籍こそ消されぬまでも政党の役職は全て返上した身にあって疎遠となりし市連のN女史。この道長く、こちらの扱いに慣れるばかりかこれがなかなかの毒舌家であり。ある日の着信にこちらの仕事ぶりをほめられ。謙遜してみせたものの、はて、どこで見られたものかな、と問わば。
地元にてポスター看板の撤去に精を出す姿がSNS上に、と。いや、確かにあった。が、そもそもの経緯は県議からの依頼。当該地の所有者から移動の申出があったそうで、業者に見積を求めるに数万円と。んな程度のことならば何も業者に頼まずと、と告げるに手伝いを請われ。ノコギリ片手に廃材の運搬まで。
以降、味を占めてか、どこぞの看板が倒れそうだ、とか、県議の下請け業者が如く。そう、こないだなんぞ、どこぞの高台に寂れたポスターあり、何とかならぬか、と現地に連れられ。やはりどこからかハシゴを拝借して出直した方が。いやいや、この位ならば何とか。手前のカーブミラーの支柱に足かけて、木登りの要領で、と実践してみせるに目がテンの県議。
「呑む」「打つ」「買う」、否、「走る」「泳ぐ」「登る」位のことが出来んでどうする、職に困らば。別な仕事を、と県議。そう、その動画を公開するにきっと有権者の共感を得られるはず、などと意味不明の賛辞に惑わされ。撮影用にもう一度、と。おい、市議を何だと心得る。んな他人の動画の撮影に余念なき不謹慎な県議の元に支援者から相談が寄せられたとか。
サービス向上に欠かせぬは利用者の声なれど面と向かって言いにくい時とて。その為の。市立のとある施設にあって、意見箱が置かれるは何とも結構、が、その場所や入口受付の前だそうで。些か配慮があっても、と。
(令和8年5月20日/2996回)
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