傾奇者

近年の戦国武将ブームの火付け役はこちらではないかと思っていて...。群雄割拠の戦国時代を駆け抜けた一武将、天下御免の傾奇者、前田慶次を描いた漫画「花の慶次」。原作の隆慶一郎氏の「一夢庵風流記」も然ることながらやはり画だよな。
相手が天下人とて物怖じしない度胸というか胆力。叔父にあたる主君、前田利家を水風呂に入れて去るシーンなどは痛快そのもの。単なる偏屈者ではなくて権力者に阿らずぎゃふんと言わせる。露天風呂で酒を酌み交わしながら「天下」を語るところに突如現れた天下人秀吉。「百万石で家来にどうか」と誘われた慶次は「そんなことより一献くれまいか?」と即座に切り返し、その誘いを断ってしまう。地位や処遇、何よりも権力に阿らぬその姿勢がカッコいいんだよナ。
さて、新人に訊かれて返答に窮することが少なくない。「何でこの議案に賛成しなきゃいけないんですか?」-「そういうもんだから」と期数の威光を傘に権威をかざしてみたくもなるけれど、やはり新人目線は忘れずにいたいもの。朱に交われば何とやらで四期もやっていれば...。初心に帰って片山善博氏の「自治体自立塾」を読んでいるんだけど、何とも耳のイタイ話ばかり。議会とともに話題が並ぶのがこの分野。
巷で教育委員会といわれているのはあくまでも教育委員会の事務局であって、本来の教育委員会とは市長が任命した6名の教育委員による合議制の会のことを指す。教育委員会の形骸化が叫ばれて久しいが、不祥事などでも会見に臨むのはほぼ必ずといっていいほど教育委員会「事務局」の職員と学校長であって教育委員の顔が見えぬ。およそ非常勤として月一回の会議に出席して事務局の報告を受ける程度のもの。
余計な介入はせんでくれとの現場の意向と事なかれ主義が結び付いた結果どうなるかといえば...。つい最近も区内のある中学校でイジメを理由に転校した生徒の話を聞いた。聞けば随分と陰湿なものだったらしく学校側も掴んでいたらしいんだけど、上に報告すればそりゃ自らの非を認めるようなものだから隠蔽なんていえば言葉が悪いけど「見て見ぬフリ」だそうで。憤慨された保護者から話を聞いた。
日々学校を巡回して教育現場の課題を探るなど今少し情熱が不足しているように思えてしまうんだけどやはり事務局任せで現場を知らなすぎの誹りは免れないのではないかと。その教育委員の任命にあたっては議会の同意が必要であって議案として採決を諮るんだけど、議案書には経歴程度しか掲載されていないから本人の見識や理念、教育への意気込みなどというものは窺い知れぬ。