茶豆

限界集落といわれた過疎の村を救ったスーパー公務員を描いた「ローマ法王に米を食べさせた男」がドラマ化されて、まずまずの視聴率だったとか。環太平洋経済連携協定(TPP)の日米交渉が大詰め。米国産コメの輸入枠を巡り、トン数以上に焦点とされる政府の買取保証。
無関税の枠を拡大しても保証さえ外せれば実際の輸入量は限定的と目論む政府だが、諸外国に比べて日本のコメが旨いという概念は既に過去のもの。カリフォルニア産コシヒカリなどは市販品に比べて遜色ないレベルに達しているとか。酒造りなどもかつて一世を風靡したブランド以上に近年はブランドに依存しなかった酒蔵の活躍が目覚ましい。ここ数日も株価下落が続いたどこぞの株式市場に見るまでもなく、下手な介入はいづれ大やけどに繋がりかねない危険性も...。
さて、私の郷里の新潟県で枝豆といえばおよそ茶豆。これがほんとコクがあって旨いんだ。ビールのつまみに最高。で、市内の新城小学校の児童生徒たちが学校で作った枝豆を市長に届けたとの記事があって、なんともほのぼのとしたニュースだなと。種まきから収穫までの体験は生命の大切さを実感出来る貴重な機会。市内の名産品は数あれど、おらが黒川のトマトと並んでこの新城の枝豆ってのも名物で...。
そんな市内名産の野菜の一つに万福寺人参ってのがあって、栄養価が高く、何よりも甘い、というか専門用語でいえば糖度が高い。が、何よりも市販の人参に比べて背丈が長いのが特徴。ってことは収穫の際にそれだけ深く掘らなきゃいけないってことだから手間がかかる。そんなことから生産者は減少の一途を辿り、現在は区内のIさんのみとか。で、そんな古民家にて自家製トマトをほおばりながら貴重な御話を伺わせていただいたんだ。
都市部は小規模農家が圧倒的に多い。品種改良や技術革新とは申せども単位収量はそれほど差異がある訳ではないから耕作面積がそのまま農家の収入を左右する。さすがに何ヘクタールも所有している地方の大規模農家と違って、どれだけ工夫を凝らして丹精込めて作物を育てても自ずから規模の限界があって...。マンション等の不動産収入でもあればまだしもそれだけの農地から一年間で生産される農作物の売上だけでは家計は苦しい。
理想としては「専業」農家を営みたいとの希望はありながらも背に腹は代えられず他の職種を選択せざるを得ないのが実情であって、後継者や担い手不足が深刻などと喧伝されるが、事の根幹はそれが職業として成り立たないこと。一方で都会には趣味として土と向き合いたい富裕層は少なくないから自ら生産した野菜を売るよりも彼ら相手に農地を貸したほうが収益に繋がるとあって...。でも、それはやっぱり第一次産業じゃないよナ。