帳尻

未だ話題作を読む機会には恵まれないものの、同じ芥川賞作家の村上龍氏の社会洞察力には一目を置いていて...。同氏の近著「オールドテロリスト」は老人たちの反乱を描いた作品。その序章には放火を企てるシーンが登場するんだけど、少し前の一件と重なった。巷では老後破綻なんて言葉が取り沙汰され、主に社会保障を中心にその鬱憤の度合いが窺い知れるが、連れ合いが介護施設に入居していたり、孫の医療費が無償だったりと意外と恩恵を享受されていて全体として帳尻が合っていたりするもの。
リベラルなんていうと私には似つかない知的なイメージを抱かせるが、最近読んだ一冊に「戦後リベラルの終焉」(池田信夫著)があって、中々鋭い世情分析ではないかと。同著によれば「子供の頃から(やや高級な)朝日新聞を読み、世の中より少し進歩的な意見を持ち、政府を批判することがインテリとしての生き甲斐だ」と述べられていて、「終焉」の言葉が意味するようにその行きつく先は...。
万事が万事、教科書通りにいくはずもなく、エリート路線を歩んだからとて人生が保証される訳でもない。当時は机を並べた仲間も四十になれば人生の明暗が見える。立派な社会的肩書を有してわが世の春とばかりに人生を謳歌する面々がいる一方で無職や未婚ともなればどことなく負け組のような気がして...。進学校ともなれば尚更の重圧で妻の母校の同窓会では旧友の自慢話に不快な想いをした方々が少なくなかったとか....。
「くれぐれも言動には気をつけるように」と妻に釘を刺されて出席した二十数年ぶりの同級会。中学時代の同級会だから大した出世などある訳もなく...というか、そんなヤツは既に郷里とは縁が切れていたりもして。当時、成績が優秀だったヤツよりも不良連中のほうが現在の境遇など意に介さぬようで出席率は高く、久々の再会を喜びあった。
同級生同士にて結婚した夫婦は亭主が来れぬというが、そちらの亭主が私のブログの読者だそうで。やはり「いつでも」「どこでも」「誰でも」「勝手に」見ることが出来る効能は小さくない。まだまだ人生半ばだけにこれから前途を祝して乾杯。
そうそう、最近、支援者の方からいただいた相談に臨時福祉給付金があって、支給対象者一人につき6千円が支給されるというものなんだけど、当人は昭和一桁生まれの御仁にて何もせずに施しを受けるなどというのはどうも釈然としないとか。