国立競技場

制度創設当時に医師会のある先生が懐疑的な見方というか創設そのものに反対を表明していたと聞いていたんだけど、ここにきておぼろげながらその意味が分かるような...。家政婦の仕事が保険で賄われるのはいかがなものかと医療以上に倫理観が問われる介護の世界。と、同時に「あえて」複雑化することで特定の方々のみに都合のいい制度になりつつないかと警告を鳴らす東京財団政策プロデューサーの三原岳氏による「報酬複雑化の過程と弊害」と題した論文が雑誌「介護保険情報」7月号に掲載されている。そう、複雑な制度といえば...。
本市で進む中学校完全給食。これまでは親が愛情を込めて作る弁当こそ...という金科玉条から一転、船長の号令は面舵いっぱいの全速力にて、そりゃさすがに拙速すぎだとゴネてみても進路は変わらんからいかにソフトランディングさせるかが大事なんだけど、てんやわんやの役所の混乱は相手にとっては格好の標的で商談を成立させる絶好の機会。金額さえ確保してくれればあとはウチで何とかするからとの悪魔の囁きはないか。
今回の定例会には南部給食センターの契約に関する議案が上程されているんだけど、今回は建設施工から管理運営の一括契約にてその金額は154億円。そう、PFI方式っていう手法なんだけど業界用語でいう「コミコミ」ってやつで全て一括で業者に委ねるから役所にとっては金額さえ承認してもらえば都合のいい制度になりやすい。それだけに直営で行った場合や公設民営等との比較検討を細部まで入念に行った上で結論を下さねばならないんだけど、資金調達リスクや金利などの金融工学も含んだ複雑な制度設計。生徒数の変動や資材高騰のリスクは一定程度含まれるというけれども御手盛りの可能性はないか等々。
制度が複雑化することで全て吸収される可能性が高いということ。だから餅は餅屋で設計の専門家であるまちづくり局や市の負担軽減の為に財政局との連携を密に図った上で「事前に」慎重に吟味する必要があったと思うのだが、どうも質疑応答を聞いていてそのへんの当事者意識が伝わってこない。「今の御指摘は当該部局に伝えておきます」との他人事のような返答に「そんなバカな言い分はあるかっ」と怒鳴りつけようと思ったんだけど、隣のセンセイの質問が遮った。
百億円以上もの契約を承認してもらおうってんだからその契約内容の詳細や金額の妥当性等は理路整然と説明する位の準備はしておくべきではなかったか。ましてやこれから同規模の施設が2か所、北部給食センターと中部給食センターの競争入札が行われるというのだから担当がその程度では不信感が拭えんではないか。えっ、もう落札者が決定しちゃったって?そ、そうか...。