国際局長

「それでは御来賓による挨拶を...」との紹介に登壇されたわれらが田中和徳センセイ。当人を親父と慕うHセンセイがスマホを向ける。「私もやろうか?」-「いや、アンタはいい」。スマホを向けられると何かそれだけで人気がありそうに見えなくもないだけにおらが代議士Nセンセイが無いのは寂しく、「ならば私が」とスマホを取り出して...。
最近目を惹いたニュースの一つに刑務所から脱獄したメキシコの麻薬王逮捕があって、脱走用のトンネル1.5キロは巌窟王、アレクサンドル・デュマの「モンテ・クリスト伯」を連想させる。無実の罪で監獄に送られた当人がそこで長い年月を過ごした後、 脱獄して巨万の富を手にしてモンテ・クリスト伯爵を名乗り自らを陥れた者たちに復讐を果たす物語。が、そちらは冤罪だけどこちらは確信犯でトンネルも協力者が掘ったんだろうから...。
逮捕後のインタビューで罪悪感の有無について聞かれた当人は「麻薬が人間を破壊するというのは現実だ」と認めた上で、「不幸なことに、オレが育った場所には、これしか生き延びる術がないんだよ。今でもそうさ。こんな経済状況でまともな仕事をしていたって生きていけないんだよ。もしオレが死んだところで同じことさ。麻薬ビジネスの世界に変化は起きない」と。また、暴力については「誰かが儲ければ、そこに嫉妬が生まれ、それが暴力に繋がる」と語ったとか。
いかなる理由であろうともその行為は社会的に決して許されるものではないが、世界にはそんな苛酷で壮絶な現実もあれば、一方では怒涛のように押し寄せる難民に岐路に立つ欧州。柵を作れば非人道的と責められ、難民を受入れれば収容施設が刑務所のようだと。受入を巡り対立する各国に欧州統合の理念はどこへやら。やっぱりおらが日本こそ最も恵まれてると思うけど...。
車中のラジオで与野党センセイ同士の安保論戦を振り返る討論を聞いた。野党のセンセイが国家の危機は分かったが、個別具体的な事例を示してもらわねば判断しかねる、それが答弁に出てこなかったから反対したんだと政府の対応を「痛烈に」批判されていたが、そりゃ水面下でやるもんで。最悪の事態を想定して行うものだけに仮想敵国や事例を示そうものなら相手国に失礼だとか騒ぎたてるのだから始末に負えぬ。事例を示すことがかえって脅威になりかねず、軍事機密と安全保障は手の内がバレたら意味が無い。
武器を放棄すれば安全が保障されるというのは警察を無くせば犯罪が無くなる理屈に同じ。が、軍備増強とてそれで安全が保障されるものでもなく、国の安全保障を巡る議論はかくも深いはずなのだが、昨今の国会を見るに同じ国民同士がいがみ合っているようでどうも好かん。国の行末を憂慮するというよりも私欲にまみれ過ぎたセンセイこそが相手の標的。欲こそ否定されるものではないけれどさすがにそこまでいくと敵国に見透かされて...。相手を仲違いさせる離間の計ってのは昔からの陰謀の一つ。