100ワット

一人じゃ寂しかろうなどとヘンな気遣いから「たまにはどうか」と無所属のセンセイをお誘い申し上げたのだが、誘う相手が良かったせいか夜メシと二軒目を御一緒下さることになった。
同期ながらも向こうが若干の年上にて教わることが多いMセンセイだが、話の途中に「やまちゃんは便所の100ワットだからな」とつぶやいた。おいおい何だそりゃ?語彙に乏しいもんだからホメられてるのか貶されてるのか判別できなかったんだけど、聞けば無駄な明るさってことらしく、便所は40ワットで十分とか。
私とて別に天然な訳ではなく本来寡黙なはずなんだけどサービス精神旺盛なもんだから人前ではつい...違うナ。が、そのへんが言い得て妙なだけに番組編成で新年度からは「異議あり!」改め「100ワットの一刀両断」にでも...。
さて、冗談はさておき、それは私の勝手な解釈で一部の方々に対しては大変失礼な物言いなんだけど、「センセイ」と呼ばれる職種には世間知らずが少なくない。世の模範となるべき「センセイ」方もちやほやされ過ぎて勘違いしちゃったんだろうけど。世に「センセイ」と呼ばれる職種を並べてみると、医師に教師、弁護士や税理士に稽古事の師匠、それに何といっても忘れちゃいかんのがわれらがバッチ組。
同じ「センセイ」といっても一緒くたにされたのではかなわんとされる筆頭格がやっぱりこちら。何といっても天下の医学部を卒業されたエリートにて生殺与奪を握る職種だけに面と向かって物事を言いにくい。欠点を指摘されぬというのは当人にとっても損失だと思うんだけど...。それに比べれば役所では御意見番などと持て囃されつつも世間様では叩かれて叩かれて権威なきバッチ組などは比較的社会への適合能力がありそうな気がしないでもないけど...ないか。
それだけ多くの方々に投票していただく為には公衆の面前で「御説ご尤も」とされることを言わねばならんし、物事を判断するにも見識が問われる。私なんかは物好きな上に好奇心のカタマリみたいなもんだから「視野を広げる」などと物見遊山で海外にも随分と行かせてもらったけどなんだかんだいってもやっぱりこの国が一番だって気付かされる。が、そんな状況が未来永劫続く保証はどこにもなく...。
となると最もしっかりしてもらわねばならん「センセイ」はやっぱり教師。だって子供たちの将来はその双肩にかかっているんだから。最近、機会があってかねてより幼児教育の重要性を指摘し続けておられたソニー創業者の井深大氏の著書「心の教育」を読んだ。国の将来を憂慮する本人の鋭い視点がふんだんに盛り込まれていて乳幼児を抱える保護者にはぜひ読んで欲しい一冊。
教育の目標が学力の向上のみを目指すのであればいづれティーチングマシンや教育ロボットにとって代わられるだろうと技術者らしい将来の予見を開陳されている。知育・徳育・体育における知育偏重こそが荒廃の元凶であって、タテマエが横行する教育現場に警鐘を鳴らされているんだけど、閉塞気味な現場において幅広い経験こそが視野を広げると現場の先生たちが挑戦しているとか。