乙女日記

リケジョの青春を描いたヲボコ本なるものが巷で話題を呼んでいるとか。乙女の青春日記も気になるけれども「たまには」教養が磨かれるような一冊でも....と。元来、本好きな性分にてこの数週間は仕事の合間とか移動途中に本をむさぼり読んでいる。
米大統領選も党候補指名争いが本格化、そこには国益が絡むんだろうけど他国間の紛争にも介入、世界の秩序を維持する為に警察官としての役割を期待された米国が今後においてその役割を維持すべきか否か。そんな葛藤は日本も同じ、国内にこれだけ借金を重ねる中で返済義務を有する円借款ならぬ無償資金協力のODAなどと悠長なこと続けている場合かとの厳しい声も...。「G0時代のアメリカ選択」と副題の付いた「スーパーパワー」(イアン・ブレマー著)を読んだ。
一方、なかばどうでもいい話なんだけど末尾の電子書籍が待望の55号を迎えるとかであの人物とのコラボが出来ぬかと編集長から打診があって、その際に手渡された一冊が「『子供を殺して下さい』という親たち」(押山剛著)。殺人鬼の懺悔というよりも売名目的で記した本の類などはどうにも好かんのだけれども編集長のお薦めとあっては...「まぁ読んでみな」と。
暴れ出せば手に負えず110番通報にて警察に、羽交い絞めで病院に連行されて精神安定剤を注射されると大人しくなるんだけど目がうつろ状態にて廃人が如く悲惨な姿になり果てた本人を前に呆然と立ち尽くす親。本人の意に反して身柄を拘束された上に無理やり薬を投与されるなどとは一部の人に言わせれば重大な人権侵害となるんだろうけど、ならば放っておけば...親としても苦渋の決断。
「変人」に向けられる周囲の冷たい視線と冷笑を浴びつつ、他人様に危害だけは加えぬように外出時も気が気ではない両親の苦悶の日々を吐露いただいた。「そんなことも知っておいて欲しくてね」と呼ばれたものの、だからといって何かせがむ訳でもなくその運命を甘受されていて。当人の家は閑静な住宅街の一角にあってどう見てもそんな風には見えないんだけど、平穏な家庭にも人に言えぬ悩みがあるんだナと思い知らされたのは新人の頃の話。
「病気(精神疾患)として治療すべき」か「犯罪として立件(更生)させるべき」か、医療と司法の狭間で判断を迫られる家族の苦悩。福祉制度の利用は出来るものの制度自体が症状の改善や根本的な治療には至らない、社会的に迷惑をかける位ならばいっそ...と。
親の愛情不足が子供の非行に繋がることもあるけれども愛情過多とて逆に甘えが助長され過ぎて複雑な精神構造になることもあるらしく。精神分析は医療の範疇なれど精神疾患と判定されれば犯罪を犯しても情状酌量の余地が生まれるだけにそこに縋りたい親の心境は分からなくもないけど、溺愛のあまり著しく社会的な罪の意識が薄すぎる保護者も少なくない一方で血縁を切りたいとその責任を放棄する親も...。