一番槍

親子以上に齢の離れた大番頭が千客万来の人生相談に応じていたのも今は昔。すっかり御隠居の身にて久々に近況伺いに訪ねれば、やはり話題はそちら。
当人はおらが村の生まれでも相方の郷里となれば不安は募る。私の後援会名簿以上に詳細に記憶されたその情報をもとに翌日には電話で安否確認を終えたとか。こちとら票がチラつきそうなもんだけど、演じて出来るものでもなく、そんな姿勢に教わることは少なくない。他人が見ている時は人一倍のセンセイも有権者の目線がなければ果たして...。
おらが政党の政令市の若手仲間が作るSNSのコミュニティに入れていただいている。クローズドな(=遮断された)コミュニティにて他人様から見えるものではないんだけど他都市からの有意義な情報と被災地を憂う想いが伝わってくる投稿が目立つ。ほんといい人たちなんだナ。
首都圏からの救援物資の輸送に助言を求める投稿があったんだけれども現地の道路事情は大渋滞に自衛隊の救護車両や公の輸送に支障をきたしているとか。そりゃ私だってあれだけ困っている人がいるんだから「自腹の」ボランティア活動も厭わないけど機を見ねばかえって足手まといになりかねぬ。それぞれにやむにやまれぬ事情があるんだろうけど何も一番槍がいい訳ではなく、善意が仇になってはいただけない。
さて、おらが市の看板通り、銀柳街に「赤備(あかぞなえ)」なるラーメン屋があって昼の行列が目立つ。並んでまで食べるのは億劫な性分にて未だその機会はないんだけど真紅の甲冑といえば...。彼らの活躍が誇張されたものであること位は存じていたにせよ十勇士が架空の人物と「最近」知った。三国志のみならず国内の歴史モノ、とりわけ、群雄割拠の戦国時代は得意分野なんだけど、「六文銭」絡みは手薄にてその穴を埋めるべく没頭していて。
「真田」といえば信州上田城、天下の家康に叛旗を翻して死罪を免れたとはいえ、九度山への流浪14年間の監視生活。そこに突如現れた豊臣方の密使に座して滅ぶを待つより出てて活路を見いださんとの脱出劇を支えたのは御当地の農民たち。盛大な宴を催し、村人たちが酔いつぶれた際にそっと抜け出す意図を知りつつフリをする農民たちは今生の別れを惜しんで涙を流したとか。何とも本人の人柄が窺い知れる逸話だけれどもその後は家康相手に壮絶な最期を遂げるも、「日本一の兵(ひのもといちのつわもの)」と言わしめた。
そんな「真田」を描いた大河ドラマに愚息らは夢中だそうで。私がハマっていたのは「独眼竜政宗」に「武田信玄」。私は春日山城下の生まれにて謙信贔屓なんだけど、幼少期に固唾を呑んで聞き入った川中島の戦い、敵陣に乗り込んだ謙信が信玄の軍配に一太刀浴びせたシーンは桶狭間に並ぶ戦国時代の名場面ではないかと勝手に思っていて。それにしても謙信を前に動揺見せぬ信玄の腹のすわりようも驚愕。歴史に「もし」があればとそんなことに想いを馳せるのもまた一興。
Vol.55
販売定価:500円(税込)
アマゾンKindleストアにて
販売中
<-こちらをクリック!