静観

二十歳までに共産主義にかぶれない者は情熱が足りないが、二十歳を過ぎて共産主義にかぶれている者は知能が足りないと言ってのけたとか。確かにそこには夢の楽園が描かれているんだけど不都合なことは覆い隠されているからある程度の年齢になればそのへんを見抜けってことなんだろうけど...。
破竹の勢いで快進撃を続ける第三帝国ことナチス相手に国の命運を背負って果敢に挑んだ英国の宰相。贔屓目に見ても今日の欧州における優位な地位は当人の功績に負う面が少なくなく、歴史に「もし」は無いけれどもその御仁が顕在であればいかなる判断を下すのか。押し寄せる難民に通貨危機の懸念、超国家的機関が国家を制限する道を選択したことへの葛藤。残留か離脱かシェイクスピアの国で投票が迫る。現役のロンドン市長が著した一冊「チャーチル・ファクター」を読んだ。
英国がチャーチルならばわが国はやっぱりこの人。釈明に追われる息子の汗びっしょりの姿にテレビ画面を拭った母の話は有名であって、執拗に追い回す記者に付き合う当人に部下が進言をすれば「彼らとて仕事、家に帰れば腹を空かせた家族がいる」と。一方ではたかが草履番といえどもそんな陰の人物に対しても細やかな気配りは忘れない。その位の度量と繊細さを併せ持たねば人は付いて来ぬ訳で...。そう、死して尚絶大な人気を誇る角さんの話。
それに比べればこちらの御仁は器量が違いすぎたか。たたでさえきれいごとの通らぬ世界、身から出た錆とはこのことで金銭面に限らず大なり小なり叩けば出るんだから清廉潔白などで売らぬほうが良かった。どれだけ立派な御高説を唱えても為政者たるもの世間様から嫌われては元も子も無く、全ては信用の上に成り立つものだけに。
「第三者」は時間稼ぎで鎮静化を狙ったものとの指摘は遠からずなんだろうけど、辞めてもらっては不都合だからと静観する与党も同罪だなんてのはさすがに別な意図を含んでいやしまいかと。およそ学者や評論家の類なんてのはちやほやされるのに慣れっこだから勝手言いたい放題にて攻めには強いが、文句を言われぬもんだから守りには弱いことが少なくない。そのへんが勘違いを生む原因なんだけど本人も確かそちらの...。
辞職まで追い込みたい報道陣は全て一緒くたに並べるけど、話を整理すれば政党助成金の流用と政治資金の使途は別次元の話。つまり、政党助成金は政務何とか費と同様あくまでも公金だからその流用は法的責任を問われて然るべきだけど、下着がどうだとか回転ずしがどうだってのはあくまでもモラルの話で道義的責任がどうかって話。