万収

スケベ心に購入したつもりはないんだけど、官能小説以上の精緻な描写と非日常を描いた独自の世界。冒頭から最後まで「エロ」が貫かれていて、やはり、人間の根源を追求するとそちらに行きつくのかも...などと。
本来であれば「栄誉ある受賞」となるべきところを「はた迷惑な話」とはセンセイ特有の喜びの表現であって、憚らず言ってのけるあたりに本人の隠れた魅力がありそうなもんだけど、最高学位の元総長という肩書と作品のギャップが何とも...。そう、話題の蓮實重彦センセイの小説「伯爵夫人」。
憚らず言ってのけるといえばこちらも劣らず、「あの見慣れぬ顔は誰だ?」と。そりゃセンセイ、あの「有力」団体の推薦候補ですよと御返事申し上げたのだが、知らぬ顔のポスターが敷地内に貼られていることにどうも釈然とせぬ様子にて機嫌を損ねぬようにそっと話題を変えた。
そう、私どもが東奔西走している「期間中に」通算5回目となるエイジシュートを達成されたそうで。ゴルフは4人1組、優勝者が述べる口上「メンバーに恵まれて」との社交辞令はあながち間違いではなく、今回も年下相手の一戦に約一名の例外を除いて最年長の本人の飛距離が最も出ていたらしく「気分よく」プレーできたのだとか。
当日に備えて健康状態こそ自ら管理できるものの、キャディとか天候などはいかんともしがたく、本人曰く、栄冠を獲得するには好条件が「重なる」ことが大事であって、その為にはやはり日頃の行いが...ということで聞き手、つまりは私との折り合いがついた。
いつぞやに地元の社長との話の中で、ハローワークから斡旋された求職者への不満を聞いたことがあって、つい最近も別な会社にてそんな話を聞いた。それなりの好条件を提示しているにも関らず成就せぬ理由は本人の目的が別のところにあって、失業手当が支給される為には就職活動をしているという証拠、つまりはハローワークに行っているという実績こそ必要。
それはあくまでも形式上、そうしているということなんだけど、そちらから斡旋された以上は面接をせねばならぬ訳で相手の事情を知りつつもそこに費やす時間はほんと無駄以外の何物でもなく、尚且つ、その結果についての報告義務が課せられているとかで書類作成の手間がバカにならんのだとか。
そうそう、そちらの業種では上客、つまりは遠距離の客を「万収」と呼ぶのだそうで、いかに「万収」に出会えるかは運や運転の技術以上に巷の客の動向をつぶさに観察する自助努力に負う面が少なくないと。だから銀座の高級スーツを着こんだ紳士などは一見すると上客(=万収)に見えそうなもんだけど、意外と汐留の高層マンションなどに住んでいたりもするから、むしろ同じ銀座でもヨレヨレのスーツ客のほうがチケット利用が見込めて「おいしい」のだとか。