ジビエ

さて、7月もあと1週間。巷の井戸端会議の話題は梅雨明けよりもやはりこちら。
どこぞの候補者が離島まで遊説に行ったそうじゃないかとの隣の会話を聞いた。まずは多くの目に触れることこそ選挙の王道と渋谷のハチ公前で一席ぶってみても聴衆は全て有権者とは限らぬし、物見遊山も少なくない。ならばいっそ...と離島を訪ねれば「わざわざ」こんなところまでと。
当人にとって当然と思しき行為が「わざわざ」に変わる瞬間というのが選挙では大事であって、注目候補の動きは報道が追うから宣伝効果も抜群。見ないと思えばそんな遠くまで「わざわざ」、隅々まで目が届くんだナとの評判に繋がる。選挙上手な御仁ともなれば意図的にそのへんの効果も狙ったものなんだろうけど、他人様の選挙から学べるものは少なくない。
そう、「わざわざ」といえば私の選挙中に同じ数字が並ぶヤンキー仕様の車に横付けされたことがあって、中からはサングラス姿のゴツい男が登場。選挙妨害?いや、待てよ、数日前の社長にどことなく似ていなくもないその服装のセンスはどこかで見たような...。もしや、M兄?でも、M兄といえばこの春から単身赴任で遠方に行かれたはず。が、やはりM兄で「がんばれよ」との言葉に「必ず御礼に(現地に)行く」と握手を交わしたほんの数秒、そんな「わざわざ」の行為はやはり記憶に残っているもので、約束を果たさねばと一年が過ぎた。
昨年の秋口に知人のAセンセイ、こちらは本物の先生なんだけど、ジビエ料理なるものを御馳走になりつつ、趣味の狩猟の話を聞かせていただいて以来、知床半島を含む道東に行く機会を狙っていたんだけど欲張りな性分にて田中和徳センセイのキャッチフレーズが如く「見る」「聞く」「動く」の三拍子がそろわねば物足りぬ。M兄の訪問に知床観光、そしてもう一つのアレを申し込んで北の大地行きを決めた。
道内の新千歳空港以外の便はほぼ1日1便にて中標津空港への到着は午後2時。そこでレンタカーを借りて知床半島に向かったものの、現地の到着は午後4時。観光案内センターにて1時間程度の散策ルートを尋ねれば当日朝にクマの目撃情報があって遊歩道が閉鎖、数時間前にようやく解除されたものの、経験上、勧めはしないなんて脅されて...やめた。それでもさすがは世界自然遺産、運転中の一般道に鹿が跳ねて「歓迎と道路を跳ねて夏の鹿」と一句。
夜は緑に囲まれた贅沢なホテルでの一泊、翌日の午前中はハーフ(マラソン)を走って、そのままの格好で昼の便で千歳に移動。空港までM兄が迎えに来てくれた上に、夜は御礼どころか逆にすっかりゴチになって...支笏湖のヒメマス(現地では「チップ」っていうらしいんだけど)旨かったナ。
翌日は休暇取得を予定していたものの、本社からおエラいさんがやってくるとかで「すまぬ」と駅で別れた。一人旅こそ旅行の醍醐味、北海道といえばやはり「北の国から」。が、M兄曰く富良野以上にこちらがお薦めだとかで美瑛を訪ねた。風光明媚な土地柄にて低い丘が続くせいか青空が広い、「丘続く北の大地と夏の空」と詠んだ。