没後百年

没後百年の命日がこの9日だそうで、はからずも当日に「漱石の思い出」(夏目鏡子著)を読み終えた。というか正確に申し上げれば当人の生涯を描いた作品にて晩年の死期が近づく日付がちょうどこの頃のものでもしや...と重なったって話。文豪に寄り添った伴侶の視座は鋭く、文章も秀逸にて本人の人となりが窺い知れる名作ではないかと。
そう、女性といえば「赤木舞&楠木由希子 クリスマスコンサート~バッハからドビュッシーへ~」に顔を出した。やはり極度の緊張の中に身を置いていると癒しが大事で...えっ、大して疲れているようには見えない?そうだナ。どこかで聞いた名前は前回の県議選の候補者にて当選こそ叶わなかったものの、手のかかる教え子ほど捨てがたい担任が如く...。既に時効だけど、いやはやこれがほんとに大変だったんだ。
うちの選挙区には保守系無所属の現職県議が居て国政などでは連携を図っていたもんだからいっそ会派入りでもと秋波を送ったものの意思固く、ならば...と上の意向で奔走したのがうちの代議士と今は亡きOセンセイ。候補者の選考に名を連ねぬかとの配慮をいただいたものの、そもそもに選考されるのはやぶさかではないけど、選考する側なんてのはまっぴらごめん。浅学非才の身にてそれだけの眼力がある訳でもなく、そんな他人様の人生に責任を持てんからね。
丁重に御辞退の上、決定には異論なく従うと誓約しといたんだけど、悲しいかな回りはそう見てくれないから。アイツは現職県議を応援するつもりだなんて陰口を叩かれてね、嫌なもんだよセコい連中ってのは。所詮は物事を斜めにしか見れないヤツらだから人を蹴落とすことしか考えちゃいない。で、肝心のOセンセイが志半ばで倒れちゃったもんだから支部長の鉢まで回って来て、すったもんだの挙句、擁立が決まって一件落着のはずが、その後に懐妊の知らせが届いて...。
妊婦とあらば自ずから(選挙の)活動は抑え気味になるし、万が一、石につまずいて転びやしまいかと足元ばかり。当選すればしたで乳飲み子の育児抱えて政務が出来るかって批判は必至。が、既に決定した手前、懐妊を理由に辞退させたとなればそれこそ権利侵害だなどと言われかねず、既に結果を言い渡した予備候補を招集して再選考なんてのも...。
退くも進むも地獄の状態にどうするんだと紛糾する会議。何てったって支部長だからね、何か言えよの冷たい視線。そんな沈黙を破るように発言したのがおらがセンセイ。「本人の意向でよかろう」と。で、本人に意向を聞けば「やる」というんだけれども大きな腹を抱えての選挙戦は何とも。「二兎は追えぬ。選挙は二の次でまずは赤子だ」などと当時は失礼千万を申し上げたんだけど、落選後などはショックで流産せぬかと心配は尽きず。
あれからまもなく2年。SNSの子育て奮闘記を時折お見かけするんだけど、演奏会の当日は元気な子供と御主人の姿も...。そういえば、おらが後援会長もいたナ、性に合わぬと照れくさそうだったけど。そんな演奏会にて遅ればせながら略歴に目を通していたんだけど、音大講師のかたわら小中学校や病院等における演奏・企画等の地域音楽活動にも積極的に携わっているのだとか。人を幸せな気分にさせてくれる演奏家ってセンセイよりも...これ以上は言わぬが、その御活躍は何より。
(平成28年12月15日/2311回)