韓信

昨年の雪辱なるか好発進のジャイアンツ。なんでも日頃世話になっている友人家族を招待したものの御婦人に幼子同伴とあっては場が持たぬとこちらに誘いがあって開幕戦に。私と友人家族は言わずと知れたG党なれど誘いの主こそドラキチにて。燃える闘将、星野仙一氏が現役時代に巨人戦で好成績を残した理由は全国中継にあったとか。
あの会見で一躍全国区に躍り出たどこぞの大臣の辞書に韓信の股くぐりの文字は無かったか。巷の耳目を集めるには有名人の醜聞に限る。相手が大臣とあっては格好の獲物となりうるだけに炎上商法による売名行為の下心が無いとも限らず。私が如き小者とて肚は違えど相手に同調する術を知っているのだからホンモノの悪党ともなれば喜怒哀楽を変幻自在に操る訳で。ともすればあそこまで我を貫いた当人はものスゴく純粋な御仁で、逆を言えばあのエヴァのネクタイといい、それだけ必死にやってきたことの証だったりもして。あくまでも勝手な推測です、ハイ。
そう、会見といえば...。政活費の報告書コピペ疑惑に端を発する海外での不意打ち取材は過去の記事に詳しいけど、実はその際に空港での記者会見を求められて対応を団長に一任すれば、出発前にホテル前での囲み取材で折り合いが付いた。私以外はいづれも新人の一期生で平成26年8月に広島県広島市北部を襲った集中豪雨による土砂災害で甚大な被害を負った被災地の視察の際の報告書、正確には旅費の使途を記した活動記録票の記述が同じだったというもの。
在京キー局の取材カメラが回る中、こちらに火の粉が降りかからぬように...というか、既に単独取材を終えているだけに隅でじっと立っているだけなんだけど、執拗に繰り返される意地悪な質問に憮然とした表情を見せる一期生の面々。じっと堪える様子が見て取れるんだけど、ほんと彼らは当初から高い目的意識を持って行ってきたことはこの目で見ていただけにさすがに不憫でね、もうそこまでいくと取材というよりもその意図は決定的瞬間の撮影にあるのではないかと。
「かつて秘書時代に仕えた代議士から報告書の書き方も教わらなかったのか?」との質問に口をつぐんだ一瞬の間を見計らって、まぁ私の一件は兎も角も彼らは新人にて認識が薄いのは私を含む先輩の不徳の致すところだとか、そこまでカッコよくなかったと思うけど確かそんな言い回しで茶を濁して終えた。あれを夜のニュースで放映してくれれば私の人間性が広く全国的に知れ渡ったはずなんだけど...んな訳ないナ。そうそう、あれは海外視察の実態に迫る特番でコピペ疑惑はあくまでも副次的なものだけにあしからず。
過去の蜜月から手のひらを返して追及する報道陣の無節操ぶりに怒り露わの秘書に「彼らも仕事だ」と諭したのは角さんだけど、韓信の端倪すべからざるところは大成した際に股をくぐらせた張本人を探して処罰するどころかそれなりの地位を与えたこと。積善の家に余慶ありとはよく言ったもので、その行動に相手を辱めようなどという別な意図が含まれればいつかそのツケが回ってくるもの。
(平成29年4月10日/2339回)