サプリ

ちょうど流行の世代となるもんだからその手の見聞録には目がないんだけど、天竺を目指した三蔵法師が見たガンダーラとは...。
シルクロードに挑戦中の知人からパミール高原の麓の村に到着した様子が届いた。露語、独語、仏語ならいざ知らず、全く知らぬ土地の言語とて色や大きさ、字体そのままに自動変換されるその性能に人工知能と訳されるAIのスゴさが見て取れるんだけど、当人によれば翻訳ツールが最も重宝するのはレストランのメニューだとか。
さて、ある席の挨拶でHセンセイが披露した昔話。今は亡きOセンセイにまつわるものだったんだけれどもそんな話にかつての支援者Sさんの涙腺が緩んでしまったと聞いた。たかだかその程度で、何とも純情な御仁ではないかと思うのだけれどもかくいうSさんは元刑事で現役当時などは世を騒がせたあの大事件の犯人と取調室で向き合ったツワモノ。
次から次へと飛び出す大補物の武勇伝は数知れず、古今東西、心を閉ざした被疑者の籠絡に恫喝まがいの脅しが通用するのはほんの一部であって、やはり北風と太陽、アメとムチ、取調べは陰陽の二人三脚と相場は決まっていて最後の決め台詞は「郷里のおっかさんが...」。そう、ちょうど、「踊る大捜査線」シリーズでいかりや長介が演じる和久さんに重なってしまうんだけれども最新鋭の技術を駆使した捜査が主流となる中でも和久さんの勘と経験にもとづく機知が事件解決の糸口となったりもする訳でまだまだこういう御仁の活躍の場は少なくない。
映画といえばスタローン主演のロッキーシリーズの中でも第四話がお気に入り。東西冷戦の緊張から融和の兆しが見えつつある微妙な時代に組まれた試合。エキシビションといえども米ソの威信がぶつかり合う本気勝負に盟友アポロを失ったロッキーが敵地でドラゴに挑む。最新鋭の技術を駆使した科学的トレーニングを積む相手に対して雄大な大自然の中で独自の練習を重ねるロッキー。
ここ何年かで飛躍的に研究開発が進んだサプリ分野の誘惑にドーピングじゃあるまいし、疲労を残さぬとかどこぞの筋力が驚異的に向上するとかそんな都合のいい話がある訳ないぢゃないかと疑いつつも、目前の「完走」がチラつけば、それもアリかな...。ちなみにロッキーの勝利後のインタビューがカッコいいんだよナ。
さて、数少ない私の支援団体の一つ自動車整備組合の総会に本年もお招きいただいた。当日は恒例となる講演の機会が用意されていて、市長候補ばりの大見得の一席をぶってもいいのだけれども饒舌に悦に入るのは当人だけでくだらん話を聞かされるほうはたまったものではない。ほんと気遣い無用なんだけれども折角の相手の好意を無碍に断る訳にもいかず、どれだけ時代が進歩しようとも忘れてはならない価値観があるというメッセージを込めたかったもんだからあれこれと悩んでいたんだけれども車に絡めて前職時代の上司から聞かされた話を披露させていただくことにした。
抱え運転手の有無で身分が判断されがちな価値観、故人と知己のあった当人の知る限りにおいてアップル社の創業者、伝説のカリスマ経営者スティーブ・ジョブズ氏は最後まで自らの手で車を運転していたと。
(平成29年5月28日/2351回)