わんこそば

餅は餅屋、大変失礼ながら過去の知名度を生かしたそちらからの転身には懐疑的、というか期待薄だったのだけれども初めて聞いた現職の参議院議員、元メダリストの橋本聖子氏の話がよかった。やはり喰わず嫌いはいかんナ。
体内にたまる乳酸こそ疲労の元凶というのが私が教わった理屈だったのだけれども近年はそちらの分野の研究が進み、脳と身体の因果関係が明らかになりつつあるのだとか。そんな話から違反薬物、そして、オリパラの話に繋がったんだけど、障害者は自らのハンデを克服する為に脳が働くからその達成感は健常者に比べて...確かそんな話だったはず。こちとら勝手に都合よく解釈してるから詳しいことは知らぬ。不思議なもので目標が100キロとインプットされるとあれだけキツかったはずの50キロなんてのも平然と通過、全行程を13時間23分36秒で走り遂げた。
ただただ疲れる「だけ」の種目にわざわざ安くない参加費(1万5千円)を払ってまで挑戦する神経は理解出来ぬなんて「よく」言われるけど、でも、これだけ多くの方がハマるってことはそれだけの魅力があるってこと。とりたてて特別な運動能力を必要とするものでもなく誰もが気軽に出来て全ては自己責任の世界。勝手に走って勝手に棄権、相手の順位や他人様との駆け引きなど関係なし。自らの限界に挑むことで見えてくるものがあるばかりかその挑戦心に達成感は金銭に代えられぬ価値を有する訳で...。燕雀いずくんぞ鴻鵠の志、他人様のあらさがししか出来ん連中には分からんかも。
が、何よりもその目標に向けてアレコレと模索する過程がまた何とも一つの愉しみであって、100キロを走るというよりも14時間を走り続ける為に必要なモノとは何か。やっぱり足がイタイはイヤだからね、その為に「それなりの」練習は積むんだけれども、それに飽き足らず脳医学や栄養学を学んでみたりと。で、結果、当日のリュックにはサプリだ、栄養ドリンクだ、羊羹だと詰め込んで...。そちらで随分と助けられたんじゃないかな、違反薬物に手を出してしまう一流選手もむべなるかなと。
当方の事務所の隣にハウスクリーニングの会社があって仕事帰りのパートの方々が時折物色していくのだけれども中でも甘い菓子類が人気、そんな生理的欲求は理論的にも正しいらしく。それと回復力、スローペースが持続する理由を考え続けていたんだけれどもあれは人が本来備えている自然治癒力というか回復機能によるものではないかと。ボクシングの試合のあのインターバル後の回復力然り、スゴいもんだね、人ってのは。
ということで、人の根源に辿り着いちゃうんだけど、やはり生きる上で基本となるのが体力。その為にはまずは「食」とこじつけてみたりもして、初挑戦のランナーがベテランの経験者に教えを請いに行った際に言われた一言が「酒持って来い」ならぬ「匙持って来い」、つまりは食うことだということらしく。今回、妙齢の女性Oさんと御一緒させていただいたんだけれども過去の出場の際に帰りに地元名物のわんこそば46杯を平らげて賞状をもらったとか。体重など私の半分程度しかなさそうだけど、完走証以上にそちらのほうが価値がありそうで、私も次なる目標は...。
(平成29年6月17日/2356回)