貴賓席

働き方改革、そもそもにカタカナは得意じゃないからその意味に詳しくなく、ワークライフバランスがどうだとか、残業はけしからんとか、改革派と思しき連中は攻め立てるけど副収入が如く残業代をアテにしていた面々もいる訳で、定時退社の推進はかえって経営陣に好都合だったりもして...。別に特別な手当があるはずもなく必要と判断したから勝手に居残っていただけなんだけれども事務員不在に途切れる空調、不快指数も高い中、控室の電話が鳴った。「Aセンセイは御在席で?」。
意欲ある新人ならいざ知らず、ベテランとあっては不快指数の高い蒸し風呂に耐えられるはずもなく。既に退庁の旨を返答すれば、「つかぬことを聞くが...」と前置きがあって「センセイは御タバコは吸われますか?」と。まぁそのへんならば相手の気遣いに見えなくもないけど、その後に続く設問、「では、珈琲と紅茶はどちらが...」に話題の人物の心境が分からんでもなく。それにしても「ハゲ」「デブ」「ブス」など容姿の侮辱はイカン。
本市のみならず県もしくは県内の市町村が出資して広域的に対応する事務組合。その監督役として各自治体の市議会を代表して議員が派遣されるんだけど、およそベテランの指定席となっていて、やっぱりエラいセンセイがおでましになる以上は絶対に粗相の無いように、と嗜好の確認も怠りなく。その代表格は競馬に水道。議長経験者が居続けて、下々は口挟む余地なく言われたままに承認を続けてきたんだけれども当時の中堅がそっと教えてくれた。「別な報酬が支給されるからナ」。
が、そのへんの籠絡ならばお手のもので「こんどぜひセンセイの顔で」なんてヨイショして競馬の貴賓席を予約いただいたことがあるんだけど、門前の丁重な出迎えに通された部屋の机には...。それが本人のポケットマネーであれば大したものなんだけれども。そういうオイシイ役職こそ下に譲るってのが器量ってもんぢゃないのか。
まぁそれも昔の話、ここ何年かはそのへんが随分と見直されて。で、不肖私もその事務組合の一つ、神奈川県後期高齢者医療広域連合なるものの議員を仰せつかることになった。読者諸賢ご存知の通り、姥捨て山と揶揄された制度創設に伴う後発組ゆえ1万円の日当制に年間2回、というか正確には2日の定例会。もっとやらんのか、とボヤいてみてもあとは無償だとか。
そう、一般質問を終えた。地元の関心高い横浜市営地下鉄3号線の延伸。巡り合わせの妙も手伝ってか委員長の特権を笠に随分と詰め寄っていて今回もそのへんの実績を公にすべく質問の事前通告をしておいたはずなんだけど、事務局から連絡があってそちらに関連する請願・陳情が委員会に付託されているものについては本会議において質疑不能だとか。「そんなバカな話あるかっ!」と返す暇なく、一方的に削除されてしまった。
中には願意叶わぬまでも陳情者の顔を立てたと思しき結論もある訳でそんな不都合な規則は即刻撤廃して...。されど、そんなことを許せば勝手放題で収拾がつかぬ、あくまでも委員会の審議を先議とせねばとの慎重論もあるらしく。そのへんの扱いをどうするかが、議会改革検討委員会の俎上にあるんだけど、そちらの座長も無報酬にて。
(平成29年6月29日/2359回)