あぐりっこ

よほどのことが無い限りは...と聞いていたもんだから特に摂生することなくあれから一ヶ月が経過したんだけれど不思議と減量したままの体重が維持されていて、こりゃ意外と好都合かも。やはり食欲旺盛というのは健康の証、こと最近などはおらが部屋にも不格好な野菜が届き、昼食時に振る舞われたりもするんだけれども巷に負けず健康への意識が高いもんだからこれが意外と好評にて。
この春に都市農業の振興を目指す議連が発足して、不肖私が「副」会長を仰せつかることになった。人選においては当該分野の見識に加えて、経験というか期数、それに何よりもわれらが農協との親和性等々が加味されて、いづれも「乙」評価の私などはそのへんが妥当とのことらしく慣れぬ役職に下のいうまま従っているんだけど、まずは自ら畑を耕し作付を、と農協の関連会社が営む貸し農園を賃借することになったとか。
1区画で年間8万円、月額にすればおよそ6千円であって、更に人数割にすれば然したる金額でもないはずなのだが、日頃は烏龍茶一杯に1万円の会費を払う面々もそのへんにはシブいらしく、部屋の了承を取り付けるのには随分と骨が折れた。で、その代償というか成果として事務局長のOセンセイが早朝に収穫した野菜を届けて下さるのだけれども市販のものに比べれば...。やはり旨いものにはそれだけの理由がある訳で何も慣れぬ鍬を取らずとも農家が手塩にかけて丹念に育てた野菜を消費者としてケチらずに購買することとて立派な貢献ではないかと思ってもみたり。
さて、芽時枯れ時は情緒不安定にて件数多しとは聞くものの、最寄の私鉄沿線における人身事故が続き、そのたびに泣かされることが少なくない。他の沿線との件数比較を求めれば抜きん出ていてその対策として駅構内におけるホームドアの整備を求めたんだけれども乗降客10万人以上を目安に進めるということらしく。
確かに確率的にはそうかもしれぬが、ホーム転落事故の中には当人の不注意や不慮の事故以外に自己都合、つまりは自殺というのが含まれる訳で。となると乗降客数の多い駅以上に通過駅などが狙われやすく。最愛の人を失った御遺族の悲しみはそれとして、自殺の中でも飛び込みとなると他のものに比べて怨念という動機が小さくない。
最近読んだ一冊に「人質の経済学(ロレッタ・ナポリオーニ著/村井章子訳)」があって、その国の悲劇や実態を伝えたい、彼らを助けたい、という本人たちの純粋な想いとは裏腹に相手にとっては動く身代金、絶好のカモでしかなく、当人が伝えたかったもの以上にその誘拐された事実や残忍性だけが勝手に大々的に報じられるものだから相手を利するに十分。
前よりも衝撃的なニュースを求めてやまず、出来るだけ経費をかけずに材料を入手しようとする姿勢が誘拐と人質の殺害になにがしかの責任があることを自覚すべき、とあったけれども、こと最近は自己都合を兼ねた演出も少なくない。意図的なものだから絡む相手が著名であればあるほど、発言が過激であれば過激であるほど当事者には好都合な訳で。自然と目にするその手の話題は耳障りのいいものではない。
(平成29年7月19日/2364回)