談合坂

さて、市長選。政党の推薦は受けぬというのが現職の政治姿勢ながらも「当然」いや「意外と」肚は別だったりもして、各方面から手が伸びて請われぬ支持を表明することになった。が、何もそこに限った話ではなく、私とて団体の推薦を受けぬ、というよりも自ら求めぬだけなんだけど、来るもの拒まず、相手からの申出あればほいほいと...。
で、結果、数団体の顧問なる大そうな役に名を連ねることになった。それとて後ろに背負った看板に期数が合否基準となる訳で決して個人的な資質が評価されたものでないことは十二分に認識しているんだけれども受諾した以上は何らかの仕事をせねばならず、入札絡みの相談も少なくない。
およそ入札といえば贈賄だ収賄だなどと物騒な文言とともに映し出される被疑者の人相を見ればどことなく悪人に見えてしまうんだけど今や相手方に予定価格を教えるなんてのは有権者に現金を配る候補者が如く昔の話。そこからピンはねして互いに私腹を肥やしたなんてのは言語道断なれどこの御時世において応援の見返りに便宜を図ろうとするその姿勢位は評価されても...ダメか。
そうそう、予定価格が数千万円の物件の応札が万円単位までピタリと同じ。それが二社ならず十社狂わず同じとあらば、「おいおい、いいかげんにせんかい」と露骨な談合を疑ってしまいがちだけど、こと最近などは単価や数値を入力していけば自動的に予定価格を算出してくれる代物が販売されているとか。恐れ入る技術革新。
で、同一金額が並んだ際は「くじ」なんだんだけれどもそんな時に限って不思議と同一の会社が立て続けに当たったりもするもんだから、そんな大型案件を複数受注する余力などないはずゆえ辞退させるべしと陰口が聞こえたりもして。
本来であれば自由な参入を促すことで、競争の結果、適正な金額と品質に収斂されるってのが机上の理論なんだけれども門戸を開けば開いたで生ずる不都合。税金も払わぬ市外業者や常識知らぬ新参者が安札を入れてかなわん、参加資格を厳しくして厄介者は排除すべしと古参の鼻息荒く。
この前なんぞは他社の半値で落札した業者が手に負えず受注後に仕事半ばで辞退、そりゃ試供品のようなもので時にハズレなんてこともあるのはやむなしにしても逃げた尻拭いを負わされる、そりゃ発注元の担当者が困っていれば何とかしてあげたいというのが人の道。
見返り求めずとも以前であればその埋め合わせで何か仕事を回してもらったそうだけど、最近などはそんな時だけ泣き付かれて。だから浮気せずに今までの関係を...とチラつかせてみたものの、次の入札時にまたその業者が含まれていたとか。
が、逆とてだまっちゃいない。自由参加の一般競争入札に対して、複数社を指名した上で競わせる指名競争入札。その指名権は役所が握るも指名業者になる為にはその実績を有することなんて条件を課せられては笑うに笑えぬ。
入札を巡るそのへんの諸々のことが表に出れば不手際がバレてしまうから包み隠される訳なんだけれどもまさに世の縮図であって、何ともせちがらい時代なれど新たな形でセンセイの手腕が問われる分野ではなかろうかと。
(平成29年10月9日/2384回)