投票率

向こうから渡されることはあっても渡す機会なんてのはそうそうあるものでもなく。
向こうというのは市長で、渡すモノは賞状というか当選証書。有権者を代表して四年間の市政を君に託すと言わんばかりのその役職は年齢、貫禄ともに申し分なく、そんな機会が回ってくるとは何とも名誉な話ではないかとヨイショしてみるも当の本人は御満悦にはほど遠い様子にて。
期日前投票が好調と聞いた。利便性の改善に投票率の向上を狙ってか期日前投票における閉門時間が延長されたと聞いて、ならばその取組を当人の功績とばかり称賛してみたものの、巷で進む働き方改革に逆行するではないかと脇固く。それが十分か否かは価値観の違い、これだけの機会が確保されていながら棄権するのは確信犯に近く、延長が果たしてどれほどの効果を生むかは未知数。選挙後の結果が気になるとこだけど、確かに何でも広げりゃいいって話でもなさそうで。
さて、どこぞのテラス席にてコーヒーを飲んでいた私に手を振ったら「無視」されたと。が、この私が、んな無愛想なはずなく、たまたま「目が合わなかった」だけの話なんだけど、怨念とは怖いものでいつしか隣には妙齢の女性が一緒で不倫に違いないと。おいおい、どうしてそこまでの尾ひれが付くのか知らんけど、投票行動ってのは些細なことが左右することが少なくない。まぁそんなことを吹聴しつつも浮気せず投票用紙にはちゃんと...。
「街宣車が一向にこちらに回ってこない」とは必ず聞かれる苦情...否、御助言で、そんな時はおよそ陣営がテンパっていることが多いから余裕無く。折角、オレが教えてあげたのに「無視」しやがったと期待が失望に変わる瞬間。それは候補を当選させたい一心なんだけど、御節介も過ぎるとかえって逆効果。それに振り回されて、よもや、おぬし敵の回し者ではあるまいナと疑ってみたり...失礼。
気合根性論はまんざらでもないのだけれども候補が必死でやっとるのに他の活動が足りんと上の檄が飛んで街宣車の助手席に陣取ることになった。雨の選挙戦とあらば声こそ命、ウグイスの流暢な美声も結構だけれど、やはり聞き慣れたダミ声に窓を開けて...ないナ。所詮は陰で当落談議に花を咲かせるヒマ人なのだから粉骨砕身の労は惜しまんのだけれどもウグイスとてそれが仕事なだけにマイクを一人占めしては折角の相手の気を削いでしまうことになりかねず。後部座席のウグイスに指示されたままに仕事を終えた。
で、次なる仕事はビラ配り。それとて、ジャンパーを着たスタッフ数人が御一緒して下さるのだけれども、のぼり旗もなければ配布物とて候補の氏名なく。ならば配布時に候補の氏名位は声を出さねば有権者に伝わらんではないかと叱責してみたものの、それすら禁止された行為だとか。禁止なら禁止でやむなしも、そんな事情を知らぬ有権者はもっと派手にやらねば目を惹けぬではないかと。
ネット選挙の解禁は一里塚、投票率の向上を狙うのであれば時間延長よりもそちらを見直してみたほうがどうかと思うのだが、公職選挙法の改正は国の仕事にてさすがの選挙管理委員長も...。
(平成29年10月21日/2387回)