首領
普段は見ない、というか「余裕がない」というのが正確な言い回しなんだけど、女優に惹かれて番組を見入ることになった。容姿自慢は多かれど内なる知性なくばその役柄は務まらぬ。巨匠ゴッホを巡る旅の特番にて名画の数々を見ていたんだけれども「夜のカフェテラス」や「星降る夜」に描かれた「灯かり」が何とも幻想的。同じ名画とて何度か見る中で気付かされることも少なくない。
恒例の児童作品展の表彰式、受験を左右するのは国算理社なれど人生を左右するのは体音美と信じて疑わず、市内小学生の作品も然ることながら豊かな情緒が育まれる為には教育者の姿勢、つまりはその分野の現役教師が務める審査員の講評だけは耳をそばだてていたんだけれども聞き入る児童生徒を前に上達の秘訣を二つ。まずは絵と会話をすること、そこに吹き出しが出来れば尚結構。そして、帰る前に今一度自らの作品の前に立って当時の心境を振り返るべしとの講評は納得。
さて、政令市の議連総会を終えた。C市などは話題のドラマのロケ地だとかでそちらの宣伝に余念なく。実力派女優演じる主婦上がりの新人市議が最大会派の「ドン」に挑む脚本らしいのだけど、諸般の事情が重なって不肖私も最大会派の団長なる役職を仰せつかることになった。中には議長上がりの実力者がその役職で隠然たる力を行使する市もあるらしいのだけど、うちなんぞは議長上がりが構成員の四割を占める上に無鉄砲の期浅もほぼ同数を占めるもんだから「ドン」とは程遠いばかりか、不祥事や不都合が生じた際には「責任者出て来い」って話だから何とも割に合わぬ損な役回り。
会合の際は代表して挨拶を...と水を向けられ、それが委員長であれば役所の執事役が原稿を用意してくれるのだけれども会派内の役職にて秘書役もおらず、表舞台は不得手にて「折角の機会だから目立って来いよ」と副団長を促すもこちらの意図を見透かしてか断られること多く...というか快諾された試しなく。前任の議員辞職に伴う異例の兼職にて議会運営委員会の委員長にまちづくり委員会の委員長、それにこのたびの団長で三冠王などと笑われたりもするもんだから負けじと議会改革検討委員会の委員長もあるから四冠だと切り返してみたものの...。
そもそもに、議会の運営を協議する議会運営委員会の構成員は各会派の正副団長、その采配役が委員長となる訳で奏者と指揮者が同一ではさすがに塩梅がよくない、一刻も早く下ろさんかいと厳命しているんだけど、「日程の都合上、しばし辛抱を」などとにべもなく。辞職するにも在任期間が最も短い委員長として不名誉な記録が残る。ならば、いっそこのまま市議会を牛耳る首領(ドン)役で続けてしまおうかと思わぬこともないのだけれども忙殺の日々に疎かになりがちな膝元。
後援会の役員会すらままならず、そんな事情を伝えれば「不在で結構」と会長。その真意こそ知らぬが、捨てられぬことを願っている。
(平成29年11月6日/2391回)
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