時効

時の不運もある訳で敗者復活なんてのは今に始まった話ではないのだけれども、さすがにあれだけの大差での優勝をひっくり返されては...。
相手方の興奮を「下剋上余韻冷めやぬ夜長かな」と一句詠めば、「下剋上」が「名曲」に訂正されて注釈には時が過ぎれば意味が分からぬとあった。良句とは普遍的なものでなければならぬ、と以前いただいた俳句十訓というか心得にあった気がしないでもなく、普遍的か...。でも、やっぱり「名曲」の余韻じゃないんだよナ、あれは。昔は許されていたものが今は認められぬ、そんな事例は少なくない。
さて、地元の神社総代からお呼びがかかって伺えば、市から下水道使用料の「追加」請求書が届いたとか。境内の一部に下水道利用の実態がありながら使用料の徴収がされていないものがあって上乗せ分を承諾したのが2年前。それ以降はキチンと支払いを続けてきたものの、過去5年遡って、つまりは承諾前の3年分を納付せよとの通知。状況を察してか関係者が請求書を持参した上で経緯を説明したというのだけれどもやはり釈然とせぬ御様子にて。
今であれば水道の利用申請時に下水も併せて処理されて当然ながらその後の請求も一括なんだけれども当時などは局も違えば地下水の届出は全く別の局だった訳で散水栓や浄化槽等の一部が例外扱いされたことも。故に利用者が申請を怠ったというよりも牧歌的な時代の中で見逃されてきた、それが昨今において明らかになってきたもんだから請求されつつあって上乗せはやむなしにしても過去に遡及してとなると自らの過失を棚に上げて些か勝手が過ぎやしまいかと。5年ですらそんな状況なのだから...。
議案の審査は常任委員会なれど賛否は会派の判断にて紛糾せぬようにと正副団長宛の根回し的な訪問を受けることが少なくない。裁判にて係争中の案件が本市の敗訴で確定したと「下水道使用料納入通知処分取消請求事件の上告審査不受理決定について」なる報告を受けた。およそ神社の事案に類似するんだけれども当時の市の判断は利用実態を確認出来る年月まで遡及して支払いを求めるというもの。相手方は過去5年間分の支払いには応じたものの、それ以前の請求分は不服として市に申立てを行い、市が棄却したことからその判断は司法に委ねられていたのだけれどもその遡及ってのが...16年間で約1億4千万円。
一審では相手方に約6千万円の支払いを命じた、つまりは本市の言い分が一部認められたものの、相手方はその判決を不服として上告。東京高裁における二審では一転、請求権は5年限り、その根拠は地方自治法における消滅時効との判決が言い渡され、その後、最高裁が本市の上告を棄却したことで判決が確定したというもの。これまでの経過等は記憶に薄く、過去の議事録を見れば市への不服申立て時における報告こそされているものの、以降の経過なく。
そうそう、前述の一件、総代にはもみ消せぬ不徳、というか、監督不行き届きを詫びておいたものの、今回の判決なくば神社の請求書も...。過ちては改むるに憚ること勿れ。くれぐれも低姿勢で。
(平成29年11月10日/2392回)