激甚
改選前の最終年度にて直前では何かと忙しなく、前倒しを指示しておいたのだけれども「既定の」行政視察を終えた。
調整を委ねた期浅から言い渡された候補地は岡山市と神戸市。決定後に期せずして発生した豪雨災害の状況を踏まえて再考を促すも対応は可能との相手方の返事に現地を訪ねた。岡山市では市の中心地こそ一見平穏を保つも臨時的に設けられた役所の罹災窓口に並ぶ方々の表情重く。当日の視察項目に前後して被害状況等を伺った。
そう、数日前に被災地の親友N君から着信があって、本来であればこちらから御見舞を申し上げねばならんのだけれどもとまずは非礼を詫びた。九州北部から瀬戸内周辺と被害が広範囲に及ぶことから各市町村の詳細な状況までは耳に残りにくく、気は無かったといえばウソになるが、「そこまでの甚大な被害は...」と楽観的な憶測にあったのは事実。
御当地においても死者二十数名と聞いて被害の大きさを知るが、道路の寸断に物流機能が混乱、名だたる大手も集荷拒否、担当に不満ぶつけるも本社の指示とのことらしく、身を以て状況を知る運転手を責めるのは酷というものであって、今回の運送会社の対応は今後の明暗を分けそうな気配。
また、県内の主要駅とを結ぶ鉄道路線も示された復旧目途は年末。線路の破損など限定的なはずも全線不通とはこれいかに。大人は兎も角も朝夕に電車を利用して通学していた生徒の送迎等を見るに忍びず、一部区間の折り返し位は出来ぬものかと。おいおい、そりゃアンタ、私とてやぶさかではないが、そんな時の為の「センセイ」であって御当地の面々は何をしとるんだと聞き返せば姿が見えぬと。
非常事態なのだから他に追われることやむなしにせよ「見えぬ」というのはさすがに...。で、N君とは再会を約束して受話器を置いたのだけれども放っておけぬ性分でね。折角の立場を利用してちゃんと関係方面に現地の深刻な状況を伝えて善処求めておきましたよ。随分と恩義せがましいナ。
さて、党本部で招集された政令市の研修会。やはり御当地のセンセイ方の大半は欠席。スコップ片手に土砂の搬出に汗流すとのことらしく確かにそれも大事なんだけどもうちょっと別な立場で動けぬものかとも思わんでもなく。事前に行われた若手組織(といっても実際は中年なんだけど)の会合では数少ない出席者から生の声を聞かせていただいた。
大規模な自然災害の際に話題に上がる激甚指定。指定されれば復旧に関して国の予算措置が講ぜられることから獲得に必死の自治体。が、仮に指定されども復旧はあくまでも「現状」回復までであって、「現状」では過去に学ばず、繰り返される悲劇。今回の豪雨において甚大な被害が生じた広島県などは数年前の豪雨災害が重なる訳で、現地において建設が進む砂防ダムなどもその効果こそ疑わぬ迄も完成に要する歳月に費用を勘案すればどうか。
百歳の御老人に一千万円のがん治療薬を施す意義は果たして...と巷に聞いたが、崩落の可能性高い山の斜面地に進む開発。ならばいっそ戸建ならぬ高層住宅をなどと従来の既成概念に捉われぬ大胆な発想で復旧を考えてみてはどうかと思うのだけれども。
(平成30年7月25日/2443回)
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