長蛇

「(候補は)終盤戦に備えて休養を」などと優しい言葉を聞かば目から鱗...否、「涙」もそれは善意かそれとも...。候補者居らずとも選挙は回る、角さんの獄中立候補に見るまでもなく選挙制するは候補者の気迫ならぬ周囲の情熱。逆に本人居らぬほうが好都合だったりもして。「初志貫徹」なんて叫んどる候補者がいるけど似合う四文字は「他力本願」。ゆえにそんな言葉をかけられた時は「遠慮なく御厚意に甘えて」と御返事申し上げたまではいいけれど持て余す時間。
自宅の寝室と申しても布団に入らば翌朝まで起きぬこと必至、ならばひとっ風呂でもと地元の名物銭湯M湯に寄ろうものなら目撃者からヘンな風評を立てられぬとも限らず。まぁそもそもにそんなヤワなことでは野辺山百キロはおろかフルマラソンすら完走出来ぬ訳で。ふ~む、何かいい暇つぶしは...違う。
そういえば前日の駅頭でどこぞの植樹帯の枯れ草が云々との相談があったナと取り出した携帯。「ちょっとこれから」と聞かば自らの時間に不都合なくもセンセイの都合こそ大丈夫かと役所。「選挙より仕事優先」とエラぶってみたものの、居場所に困ったとは言えなんだ。急かしたつもりはないのだけれども翌日には依頼主から「早速に対応いただいて...」と、その後の文言は御想像の通り。
そう、神輿に乗る人、担ぐ人、そして、そのまた草鞋を作る人とは知れた台詞。乗るが候補ならば担ぎ手は無償奉仕の支援者。こちとら人望薄くしがない候補者にて折角の「協力惜しまぬ」との支援者の申出に不快な想いをさせてはかえって逆効果。担ぎ手の草鞋作れずとも神輿の通り道を履き清める位の雑用請け負わねば神輿は動かず。ということで、早朝の駅の陣取りはしがない候補者の宿命。なんてったってどこぞの代議士と違って秘書など居らんからね。
朝五時から寒空にじっと立つこと三時間は冬の滝行に劣らず。その後も絶叫に東奔西走の一日を終えて解散するも寝るに早く。疲労極限なれどそんな時こそ...ランに限る。何をバカなと侮るなかれ。雑念振り払われる爽快感にその後に約束される快眠。そんな悠長なことを言っとる場合ではないのだけれども定刻後も駅頭に立ち続ける候補者の我慢比べの状況を見つつ...。いや、コソコソはせぬよ、ちゃんと対立候補といえど握手を交わして柿生駅まで一時間。
さて、終盤戦の攻防。刺客送りこんでの嫌がらせはあちらの常套手段。候補者の足止めを狙った妨害行為なんぞは瞬時に見抜ける訳でほんとそんな稚拙な発想しか浮かばぬさもしい連中に同情を寄せてみたくもなるのだけれどもそれ以上に厄介なのが...。情に訴えられればそちらになびくは善人の性、「貴候補は当確にて今回はわが候補に一票を」との心理作戦。今さら票が足りぬと言われてもそりゃ自らの責任以外の何物でもなく。低迷する投票率に「投票は国民の義務」などと上から目線で訴えられても有権者にどこまで響くか。
それにしてもさすがに女子高生の人気こそ衰えたものの子供たちのソレだけは依然断トツ(ほんとの話)にてそれがそのままの成績に繋がることを願いつつ、脳裏に浮かぶ一言。因縁の宿敵を追い詰めしも突然の雷雨に孔明がつぶやく、「事を謀るは人に在り、事を成すは天に在り」と。でも待てよ、その後に続くは...。
(平成31年4月5日/2491回)