陸連

およそ大会の申込には所属の有無を問う欄があって、それだけに何か特別な存在に見えなくもないのだけれどもまたその響きが優越感を生むというか...。スポーツ界に君臨する牙城、いや、圧倒的な存在感を誇る「リクレン」。走遊仲間の「コネ」にありついて晴れて正式登録となった。
陸連所属となったからには...と、いつでもどこでも「何キロでも」挑む覚悟にて愛用のシューズを携えて通勤するのだけれども「祝勝会」などと言われれば断れず。名目が名目だけにランを断念せざるを得ないのはやむなしも、そもそもにこちらが祝われるものなれど費用負担も当然とばかりに。当選の御礼は禁止されとるし、何よりも私が払わば買収を疑われかねず。何も支援者は区内に限らず区外とて区内以上の威力を無視出来ず。あ~ぁ、今日もほろ酔い...というか泥酔。
ランにおいて膝の故障は致命的。昨夏の夜ラン中に転倒、膝の手術を決断した当人の年齢は傘寿目前。退院後、ついこないだ復帰祝いの焼肉大会を催したばかりのはずも箱根路の完走を遂げたと聞いて所要日数を聞かば、聞くが野暮ってもんでこちとら刻みに刻んで五日なれど向こうは勿論...一日。「その年齢」で「膝の手術後」に「百キロ」を「一日」で走るとは恐るべし。
本人の不屈の精神力にも脱帽ながら人が本来備えている治癒力ってのもスゴいんだナと。進む高齢化に上昇一途を辿る社会保障費。財源の消費税とて上昇に追い付かぬ。やはり医者に頼らぬ自己の体調管理、予防の普及こそ時代の要請なんだけれども何せ当人の意識に負う面が大にして金銭伴う治療以上に障壁高かったりも。
檻から解き放たれた野獣、とは大袈裟なれど、見えない緊張からの開放感に本を貪り読んでいる。開放感と申しても選挙以上に「団長」なる役職を返上したほうが圧倒的に...違うか。蜀の統一目前に一敗地に塗れた孔明が相手を見てつぶやいた「こんな田舎に麒麟児がいたか」と。孔明にして麒麟児と言わしめた姜維が亡き後の蜀の国を背負うも...。勝海舟と西郷隆盛の歴史的会談、江戸無血開城を描いた沖方丁の「麒麟児」を読み終えた。
歴史モノは過去の文献から自ら独自の解釈を編み出す訳で描写力も然ることながら想像力や洞察力と問われる作家の力量。ゆえにたとえそこに「粉飾」があったとしても歴史に身を置く、そのような状況下においてその決断が下せたか等々、自らに重ね合わせて自己を顧みるに人としての成長があるのだけれども目を惹くは文中の斬新な語彙と独特の表現力。作品以上に関心抱く作家の来し方。
筆名の由来に文章への執着を生んだ原動力とは。注釈によれば幼少期の海外生活が日本語への渇望を生んだとか。砂漠の砂に乾いたスポンジと「飢え」こそ思わぬ威力を生むもので。次なるは「辛夷開花」以来、植松三十里さんの「帝国ホテル建築物語」を狙っているのだけれども...。迫る大会に憂鬱な日々、酔いつぶれとる場合では無さそうで。
(平成31年4月20日/2494回)