右腕

それまで積み重ねてきた経過がその一言で覆されることしばしば。最低でも県外然り八ッ場ダムに築地市場と翻弄されてきた方々少なくなく、時の為政者の言動が一時は万来の喝采に英雄扱い受けるもその後を見れば禍根を残すこと往々にして歴史に学べば当人の言動とは逆の結果、つまり元の鞘ってことが大半を占める。
イケメン俳優に劣らぬ容姿に颯爽として物事に動じぬ胆力、巧みな弁舌は父譲りか。それでいて盤石の地盤有せば将来の総理候補と目されるは必然なれど真価問われるはこれからにて例の汚染処理水を巡る一連の発言の責任やいかに。名を為す大物の陰に名番頭あり、父君とて右腕に恵まれた訳で命運左右するは個の資質のみならず。
別格の厚遇扱いは議長に同じ。それが代役の代役たる所以なのだけれども揃い踏みとあらば随行も倍。抜きん出て目立つ存在ゆえ、少なくとも選出区内の機会位はそちらに譲ろうにも運命のいたずらか同区選出が正副を占める。逆ならば目の上のたんこぶ呼ばわりだったはずも嫌な顔一つせずに補佐役に徹していただいており。就任時に「仕事上の相談は副議長に、放課後の誘いは私宛に」と訓示にならぬ訓示を述べたもんだから内政はそちらに任せて自らの宣伝に余念なく。
「オリパラ」などとの造語に多少注目は寄せられどまだまだ足りぬ。いや、大舞台に上がれずと夢に挑戦し続ける無名選手を応援して何が悪い。「副」議長の肝入りにて発足のパラムーブメント議連では名ばかりの会長職を演じているのだけれども矢継ぎ早に打たれる手は形骸化しつつある他へのあてつけだったりもして...。折角の意欲を削がぬよう相談には全て「是」と。
不足する会議室の一方で分不相応に持て余す部屋。私の在籍云々に関係なく勝手に使って結構と。来る者拒まぬ議長室にて役職関係なく立入自由なのだけれども内緒で来る以上はそんな相談もある訳で現場の実態を聞くにいい機会。厳格化される勤務時間に徹底される服務規律、その意図は分からんでもないけど曲解されて余計なことは断じて許さぬとなれば話は別。とりわけ、市民の相談窓口などは尚更のこと、冊子を渡してハイ終わりでは不親切すぎやしまいか。
他に手が回らんのであればまだしもそれほど多忙に見えぬとあらば...。悲しいかな事の成否以上に職員対応の拙さに起因する苦情少なくなく。こちとて呼ぶに重宝するは意を汲んで縦割りの庁内を奔走してくれる職員な訳で人事評価高からずと。現状に改善が必要との意識有するは健全な証拠。早速に上級職を呼んで改善を促すは容易なれど問われる抜け駆けの責任。通報者の立場を損ねぬよう細心の注意払いつつ、まずは隠密に現地調査から。
物乞いというか浮浪者というかみすぼらしき娘チエは血縁でもなんでもなく。誰も近寄らぬ娘のシラミつぶしの手伝いに切れる堪忍袋の緒。「できる人ができない人のためにしてあげる。それがあたりまえだと思わぬか」の母の一言に自らを恥じる童子の名は福沢諭吉。障害者支援にせよ窓口にせよ、何か特別のことを求めとるのではなくまずは人として当然のことから。
(令和元年9月30日/2526回)