発酵

公務後の夜移動にシャワー無しの宿泊先とあらば疲れ癒えぬままに...久々の完走を遂げた。空腹時における相手の厚遇がそうさせたのかもしれんけど途中の休憩所で食べた干柿が抜群に旨かった。発酵はわが国が誇るべき食文化の一つにて渋柿を干して甘くするなど到底及ばぬ発想。干柿といえばおらが地元との交流深い長野県高森町の名産「市田柿」が有名なれど、こちらも劣らず。品種は「甲州百目」というらしいのだけれどもデカいのが特徴にてワインとの相性抜群と聞かば土産に買わぬ理由なく。完走以上に大きな収穫。
熟れ時こそ最も旨しとは食の基本なれど、こと柿に関してはあの硬めな歯ごたえこそが好みにて津々浦々のソレを物色しているのだけれども同郷人のN君より「新道柿」なる品種が最高に旨いと聞いた。そう、柿といえば今年はおらが地元の「禅寺丸柿」が不作。国の登録記念物にて柿古品種五種として皇居内にも植栽されている由緒正しい品種なれど消費者の嗜好は別物。
糖度こそあれども何せ小さい割に種多く、贈答品とするにはちと...。品種改良の進む今日においては地元スーパーの店頭に並ぶ名もなき種無し柿とて十分に旨く、つい、そちらに手が伸びてしまいがち。いやいや、票の為なら禅寺丸柿こそが最高などとヨイショするが得策なれど、そりゃ世辞ってもんで本音を隠すは生産者の為ならず。そう、最古の甘柿が果たした役割、村を救った歴史は後世に語り継がれるべき。柿へのこだわりというか愛着は他の名産地に些かも劣るものではないけれど。
開幕後における追加議案の上程は異例中の異例。ましてや代表質問の〆切日とあらば作為的な意図を疑ってみたくもなるのだけれどもこの機を逸せば次は翌年の二月以降。先行き見えぬ中の越年はキツい、市長の打診に「やるべし」と背中を押した。台風による浸水被害の救済。国の法律は建物の倒壊等を前提としたものにて浸水被害は想定外、というか手薄。再建支援法の対象とならぬ半壊以下の住宅とて少なからぬ修復は生じる訳で。救済を求めるべく申請しても調査の結果、「対象外」と宣告される心境はいかばかりか。
確かに議会日程上は微妙な時機なれど、「皿からこぼれる被災者を何とか救えないものか」って随分と前から気にされておられたからナ。ほんとの話。そこに県が救済制度の創設に動き始めてようやく示された結論。県の独自制度に政令市は適用外とあらば市として手立て講ずるが人の道ってもんで。被災者生活再建支援法の支援の対象とならない浸水被害の世帯に対して生活再建を目的に県に準じた本市独自の支援を講じるもの。気になる財源は本市に寄せられた多額の寄付金以外に本市独自の財源を投入。
非難浴びるような筋合いのものではないと知りつつも私の一存では心許なく、召集した団長会議にて了とされた。あくまでも俎上に上がっただけの話でこれからが本番。山積する懸案にこぼれる悲鳴。いやいや、それこそが本望、冥利に尽きるというものではないか。
(令和元年12月5日/2539回)