累計

特徴的な症状の一つに嗅覚及び味覚の違和感、というよりも明らかな「異常」があるそうで、朝の珈琲に胸なで下ろす日々。区内在住と思しき方から所望すれど検査を受けれぬとの留守電あり、何度か連絡したのだけれども音沙汰なく。声から察するに相当に焦っておられる御様子にて当該の責任者にその旨を伝達しておいたのだけれどもその後を見れば「せず」若しくは「シロ」だった可能性高く。だから安心というものではないけれども見過ごされがちな「陰性」の数。

窮状を訴えるに無碍に拒まれる状況は一刻も早く改善されねばならぬし、多忙を理由に杜撰な対応が許容されるもんでもないが、それだけ殺到すれば中には粗相というか不手際もあったりして。著名人とあらばそれに名を借りての露出を狙った陰謀やもしれず。人見るに色眼鏡は厳に慎まれるべきも何せ物証なく...。その一例を以て全てが如く流されては当事者の胸中や複雑に違いなく。詐欺師の詐欺師たる所以はおよそ誰しもがよもや詐欺師と思わなんだ、と「後」で思わせるところにあって、厠紙の教訓が生かされておるか。 

下されし検査体制の倍増。折角なのだから陽性の数のみならず、母数となる検体の総数、そして、その後の経過に退院の実績、つまりは入口のみならず出口も併せて公表されねば正確な状況が掴めぬ。累計とあらば減ることなく、夕刻の数字に一喜一憂し、鈍化すればしたで経路不明が半数以上は不気味、と。それこそまさに「人」に言えない恐怖ってやつで大なり小なり負い目があったとしてもそれで必ずしも断定が出来るものでもなく、下手にそこだけ抜き出されて感染源が如く流布されても。そのへんが口割らぬ背景になってやいまいか。

一方、高齢者や基礎疾患を有する方が重症化しやすい、との報道を受けて些か羽目を外し過ぎた側面はあるやもしれぬが、巣鴨の名所の混雑ぶり見れば何もそこに限って狙い打たずとも。一朝有事の際の情報伝達には細心の注意を払われるべきも受け手とて...。適訳は爆発的患者急増。大台突破はオーバーシュートの兆候、一刻も早く発令すべしと騒いだはずも下れば下ったで遅きに失した、私権を制限されるはかなわぬ、御上の要請に従った以上は落し前はキッチリと、って。 

本来ならば事前に伝えられるべき情報が後出しにされれば厳戒令を迫りし狙いは別にあったのではないかと勘繰りたくもなり。騒乱の中は特定の勢力が暗躍するに絶好の機会となり得るだけに問われる眼力。事の成否は国民が国を信頼できるかにある、と、どちらに転んでも修正が効く話をされておられた専門家をお見かけしたが、為政者たるもの国家国民の為に決断を下す、は不変の理なれど、時にそれは「酷」と思しき決断や、ちとオカシイのではないかってのもなきにしもあらず。そりゃ全知全能の神ではないからナ。

覆水盆に返らねば、後悔とて先に立たず。最悪の事態を避ける為、に異論なくも日々の数字、巷に溢れる情報に振り回され過ぎてはおるフシはあるまいか。以上、門外漢が勝手申し上げたが、肝心は各々の「三密」の順守に限る。

 (令和2年4月10日/2563回)