全議

正月の目玉番組ながら視聴率は知らず、副議長との新春対談の収録を終えた。歴代は議長室が恒例なれど、背景同じでは代わり映えせぬ。私の前任から趣向を変えて市内の名所を舞台にしたものの、屋外とあらば気になりし天気。我「々」と括られるに申し訳ない気がしてならんのだけど、日々善行に励んでおるゆえ気にせんで宜しい、と副議長。日頃の行いが左右するならばただの「雨」ならぬ「土砂降り」ではないのか、との心配も杞憂に終わり。この頃に雨なんてのは余程、運に恵まれぬ訳で。

当初の予報は雨も間一髪、免れしは悪運勝る証拠。渡されし台本に目立つは流行の三字。そりゃあくまでも「今年」の話、年始早々にそんな話題では気分も晴れぬ。さりとて、オリパラは本市に限らず、看護短大の四年制化などはパンチに欠ける、何か目玉はないものか。そう、来年は本市の行く末を左右しかねぬ市長選の年、その展望でも語るまいか、と具申すれど、それは別の機会に、とそっけなく却下されて。脚本通りにつつがなく収録を終えた。

伏龍か鳳雛か、片方得れば天下は獲れる、と告げられしは蜀の劉備。鳳雛こと龐統を迎えたはいいものの、冴えぬ風貌に田舎の官吏に任命。酒浸りの日々に派遣されし張飛を前に積もる難題を一日で片付けてしまい。後で知りし伏龍、孔明がつぶやく、「それは役不足というもの」。既に副議長が万事睨みを利かせておる以上、そちらに任せて。

が、肝心の詰問受けるは秘書。「私用」通じぬ際の口上やいかに。やはり来年に任期満了を迎える全議こと全国市議会議長会の次期会長の座を射止めるべく全国行脚に出かけたとでも。「万が一、相手が本気にされたら」と気をもむ秘書に、「万が一」とは心外な、「一応」の資格を有している以上、何ら恥じるもんでもなく、不在の理由が立つにこれ以上の代物はないではないか、と背を押した。

閑話休題。近隣の宅地開発に子育て世帯が入居、すさびれた公園に子供たちが戻ってきた。自ら管理、清掃の労を厭わぬゆえ一角を花壇として利用させてもらえぬかとの依頼に一肌脱いで。その後はとんとん拍子に話が進み、今や大変好評とかで御礼に伺いたいと相手。市との仲介は当然の責務にて気遣い無用と伝えるも律儀な御仁にて事務所に菓子折が届いてしまった。

そう、善意ある人々の手で荒廃した公園が再生する事例なれど市の負担が減るばかりかそこに生まれる賑わいに交流進まば。隣の横浜市などは園内のボール使用に公民館の建設、果ては公園を開放してのキッチンカーのイベントは大盛況とか。道路とて同じ、本来の目的を逸脱せぬならば広く利用を認めても。道路の使用許可は「社会慣習上やむを得ない場合」で「一時的に設けるものに限る」とされるもこの七月からテイクアウトやテラス営業等の路上利用の許可基準が緩和されており。

あくまでもコロナを理由にした臨時的な措置ながら、これを機に道路占用許可基準、公園内出店販売の緩和を促進してはどうかと代表質問に見かけた。公園や道路等の公共空間の活用は賑わいの創出などに資するものと認識を示しつつも末尾は「検討」の二文字。緩和か堅持か、見えぬ肚の内も本音はやはり「緩和」なんだろうナと。

(令和2年12月5日/2610回)